2021 Fiscal Year Annual Research Report
Limit theorems for diffusions, Levy processes and their variants with their applications
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19H01791
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢野 孝次 京都大学, 理学研究科, 准教授 (80467646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 和俊 関西大学, システム理工学部, 准教授 (50554937)
林 正史 琉球大学, 理学部, 准教授 (90532549)
佐久間 紀佳 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70610187)
塚田 大史 鹿児島大学, 理工学域理学系, 助教 (40827854)
植田 優基 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (40878120)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 確率過程論 / 極限定理 / 拡散過程 / レヴィ過程 / 周遊理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
処罰問題の発展的問題として,普遍シグマ有限測度の問題を一般的に論ずるべく,乗法的重みの処罰問題における普遍性について研究してきた.レヴィ過程の処罰問題において明らかになったことは,複数の異なる普遍シグマ有限測度が存在する場合がある,ということである.本研究では,普遍シグマ有限測度が絶対連続となるための条件を,調和関数の長時間漸近挙動によって特徴付ける一般定理をえた.また,ランジュヴァン過程の条件付け極限の問題にこの一般定理を応用した.この結果をまとめた論文が査読付き論文集に掲載されることとなった. 作用発展に対する情報系分解問題の研究のため,位相半群上の確率測度の無限畳み込みの理論について再考した.無限畳み込みの極限測度の台は完全単純と呼ばれる代数的な性質を持ち,リース分解と呼ばれる構造定理が成立しており,これに基づいて極限測度の畳み込み分解が得られる.この古典理論は局所コンパクト第二可算ハウスドルフの仮定で示されていたが,本研究ではポーランド位相の仮定で同様の理論が成立することを見出し,フラクタル上の拡大縮小回転ランダム写像の畳み込み積の例を構成した.この結果をまとめた論文がProbability Surveysに掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
普遍シグマ有限測度の研究で得られた一般定理は,確率過程の持つ多様性を特徴づける新しい指標を提示しており,ランジュヴァン過程の例では漸近挙動に関する興味深い予想が立てられた.無限畳み込みの研究では,ポーランド群への拡張を得ることができ,このことでフラクタルや力学系のマルコフ分割など,研究発展の新しい方向性が拓けた.以上のことから,本研究はおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
拡散過程に対する処罰問題の研究において,正再帰的な場合には極限測度が非保存的となることが分かっている.この場合に対応する普遍シグマ有限測度については,Kuznetsov測度と密接な関係があると思われるので,詳しく調べたい. また,無限畳み込みの研究で得られたポーランド群への拡張の応用として,作用発展の情報系分解問題を発展させたい.特に,フラクタルや力学系のマルコフ分割などの構造を持つモデルに対して,情報系分解を論じたい.
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