2020 Fiscal Year Annual Research Report
Bifurcation and renormalization of real and complex dynamical systems
Project/Area Number |
19H01798
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宍倉 光広 京都大学, 理学研究科, 教授 (70192606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲生 啓行 京都大学, 理学研究科, 准教授 (00362434)
石井 豊 九州大学, 数理学研究院, 教授 (20304727)
奥山 裕介 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (00334954)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 力学系 / 分岐 / くりこみ / カオス / フラクタル |
Outline of Annual Research Achievements |
宍倉は、Tropical complex dynamicsとして、複素力学系から導出される樹木上の区分線形力学系について研究した。樹木上の区分線形力学系を導く方法はいくつかあって、一つ目は、多重連結なFatou成分から不変な円環の族を構成し、そこから円環のモデュラスを用いて擬距離を構成し、それで0距離となる点を同一視するものである。二つ目は、2次元球面の自己分岐被覆であって、特異点が有限軌道をもつようなもの(PCF)の有理関数との同値性に関するThurstonの定理に関係したもので、そこに現れる単純閉曲線からなるThurston障害のdual graphとしての樹木から得られるものである。三つ目は、有理関数族の退化に関してスケール極限を統制するために導入されたArfeuxの樹木である。これらはすべて同様の力学系的特徴を持ち、Riemann球面上の力学系の退化などに関連してその特徴を単純に抜き出すことを可能にする。また三つ目の例では、与えられた樹木から退化する有理関数族を作る問題は、Laurent級数体から作られるBerkovich空間への埋め込みを作ることに他ならない。 稲生啓行は、Julia集合内の臨界点は全て前周期的で,かつ全てのFatou集合内の臨界点のまわりでくりこみ可能となるようなパラメータのなす集合がコンパクトとなるような有理関数の例を初めて構成した。 石井は、中部大学の荒井迅とともに、複素へノン写像の双曲性について調べた。中でも、ジュリア集合が連結で双曲的な2次のへノン写像であり、しかも1変数多項式の摂動では得られないような例を発見した。 奥山は、複素力学系研究との類似として、非アルキメデス的Berkovich曲線による有理関数の解析族のパラメーター空間における等分布現象と非アルキメデス的力学系のBerkovichジュリア集合のポテンシャル論的性質について研究した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宍倉は、Mart-Pete氏との共同研究で、Eremenko-Lyubichクラスで有限オーダーの遊走領域をもつ関数の構成に成功し、現在はArnold族の研究を進めている。稲 生、石井、奥山のそれぞれの分野で成果を上げている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、コロナ禍で共同研究がストップしているが、国際交流が再開次第、Mart-Pete氏との共同研究を継続する予定である。また、Arfeux氏との数論的力学系の 樹木上の区分線形力学系からの構成問題についても共同研究として取り組む予定である。その他、近放物型くりこみに関して、必要な高いタイプの無理数に関す る、数値計算を用いたよりよい評価も行っていく予定である。現段階では、予断を許さないが、可能になったら、複素力学系に関する国際研究集会を開き、研究 交流、共同研究の場とするようにしていきたい。
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Research Products
(11 results)