2020 Fiscal Year Annual Research Report
強光電磁場とキラル分子の非摂動磁気双極子相互作用による円偏光高次高調波発生
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19H01814
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関川 太郎 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90282607)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | キラル分子 / 円偏光高次高調波 / 円偏光 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究計画は、1)リモネンより小さく蒸気圧の高いキラル分子に対する測定をおこない、現象の普遍性の確認を行う、2)計測の自動化をおこなう、ことであった。 1)については、プロピレンオキサイドとエピクロロヒドリンについておこなった。これら 小分子は蒸気圧が高く、容易に高次高調波発生を観測することができた。しかし、前者についてはキラル異方性は1/10000以下であり、有意な違いが観測されなかった。後者については、~1/1000の異方性が観測された。キラリティは磁気双極子の大きさに依存し、磁気双極子の大きさは旋光性に比例する。そのため、旋光性の小さい小分子のキラル応答は小さいと考えられる。旋光性は、プロピレンオキサイド、エピクロロヒドリン、リモネンの順に大きくなり、リモネンとプロピレンオキサイドの旋光角の比は10倍近くある。そのためエピクロロヒドリンではかろうじて観測できたが、プロピレンオキサイドでは観測されなかったと考えらえる。 1)の計測ができるようになったのは2)の成果であり、予定通りの性能を発揮している。偏光子の回転、高調波スペクトルの測定、円偏光差の計算を行うことができる。 以上の結果から、今後リモネン分子を試料として集中的に研究する方針をたてている。リモネンは蒸気圧が低いため、安定して高次高調波発生を行うことが難しい。そのため、試料容器を90度に昇温し蒸気圧を高めるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイルストーンである、1)リモネンより小さく蒸気圧の高いキラル分子に対する測定をおこない、現象の普遍性の確認を行う、2)計測の自動化をおこなう、ことであった。 1)については、プロピレンオキサイドとエピクロロヒドリンについておこなった。これら 小分子は蒸気圧が高く、容易に高次高調波発生を行うことができた。しかし、前者についてはキラル異方性が観測されなかった。後者については、~1/1000の異方性が観測された。キラリティは磁気双極子の大きさに依存し、旋光性に比例する。そのため、旋光性の小さい小分子のキラル応答は小さいと考えられる。プロピレンオキサイド、エピクロロヒドリン、リモネンの順に旋光性は大きく、リモネンとプロピレンオキサイドの旋光角の比は10倍近くある。そのためエピクロロヒドリンでは観測されるが、プロピレンオキサイドでは観測されなかったと考えらえる。 1)の計測ができるようになったのは2)の成果であり、予定通りの性能を発揮している。偏光子の回転、高調波スペクトルの測定、円偏光差の計算を行うことができる。現時点では、計画通りの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では、計画通りの進捗である。しかし、最終的に蒸気圧の低いリモネンに集中せざるを得ないことが明らかになった。このことは高次高調波を安定に発生させるためには、さらに工夫が必要であることを示している。現在、容器を90度まで温めることにより蒸気圧を増して高調波を発生させる準備をしている。 一方、励起状態と基底状態におけるキラリティの変化を観測することが本研究の最終目標である。このため、励起光を別途導入する必要があるが、すでに遅延時間を経由した励起光を導入済である。
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Remarks |
日刊工業新聞2021年1月20日30面で報道された。
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