2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H01820
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増渕 覚 東京大学, 生産技術研究所, 特任講師 (50596195)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グラフェン / トンネル伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、面直電場によりトポロジーが変調可能な三層グラフェンに着目し、トンネル伝導測定によりそのバンド構造を解明することを目的としている。 本年度は、Twist角(θ)を制御した単層グラフェン/hBN/三層グラフェントンネル素子(MLG/hBN/TLG)を作製した。バンド構造の運動量空間 におけるシフト量(Δk)は、θに対してΔk=sin(θ/2)|K|となる。θ<3degとすることで、ゲート電圧によりバンドの重なりが制御可能(ΔE<100meV)な範囲に設定した試料を作製した。電子線リソグラフィー、反応性イオンエッチング、電子線蒸着、リフトオフ法を用いて、電気伝導測定用電極、バックート電極を取り付け、面直電場(D)、および単層グラフェン/三層グラフェンのフェルミエネルギー(μ_(S,D) )が独立に制御可能な素子を作製した。 作製した素子において輸送特性測定を行ったところ、hBNがトンネルバリアとして機能することによる非線形I-V曲線が観測された。さらに、微分コンダクタンス(dI/dVsd)のバックゲート・ソースドレイン電圧依存性を測定したところ、単層・三層グラフェンのバンドとフェルミエネルギーが交わる点において、dI/dVsdが極大値を取る共鳴トンネル現象が観測された。極大点の電圧依存性と、平行平板キャパシタンスモデルによる理論予想を比較することによって、三層グラフェンのバンド構造を運動量・エネルギー方向の両方向において決定することができた。輸送特性測定を用いて三層グラフェンのバンド構造を決定した初めての成果である。本研究成果を報告するため、論文執筆を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画で掲げた、(i) Twist角を制御した単層グラフェン/hBN/三層グラフェントンネル素子(MLG/hBN/TLG)の作製、(ii) 伝導電子の運動量が保存されたままトンネルすることによりトンネル抵抗が急激に増大する共鳴トンネル ピークの観測に成功した。さらに、令和2年度に予定していた超伝導磁石の調達を令和元年度中に行い、磁場中における量子輸送特性測定のための環境整備をを前倒して実現することができた。以上から、本研究計画は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
超伝導磁石を用いた量子輸送特性測定のための実験環境を整えることができた。今後は単層・三層グラフェン素子に磁場を印加することでランダウ準位を形成させ、ランダウ準位間のトンネル伝導を観測する。さらに、素子作製技術の面においても、試料品質向上のための技術改良も行う。具体的には、(i)hBN中に封止された複数の単層グラフェンに対して独立してコンタクト電極を取り付ける技術、および(ii)深層学習を用いた数層hBNの自動探索技術を開発する。 上記の測定環境・素子作製を活用し、トンネル伝導測定を推進する予定である。
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[Journal Article] Momoko Onodera, Miho Arai, Satoru Masubuchi, Kei Kinoshita, Rai Moriya, Kenji Watanabe, Takashi Taniguchi, Tomoki Machida2019
Author(s)
Momoko Onodera, Miho Arai, Satoru Masubuchi, Kei Kinoshita, Rai Moriya, Kenji Watanabe, Takashi Taniguchi, Tomoki Machida
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Journal Title
Nano letters
Volume: 19
Pages: 8097
DOI
Peer Reviewed
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