2020 Fiscal Year Annual Research Report
Design and production of the semiconducting graphene
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19H01823
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
齋藤 晋 東京工業大学, 理学院, 教授 (00262254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 博之 東京工業大学, 理学院, 教授 (60271582)
橋詰 富博 東京工業大学, 理学院, 特任教授 (70198662)
豊田 雅之 東京工業大学, 理学院, 助教 (30536587)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グラフェン / 第一原理電子構造計算 / STM / 周期構造修飾 / 半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
精密な第一原理電子構造計算に基づいて各種の周期的構造修飾されたグラフェン系の設計研究を展開し、既に詳しい知見が得られていた六方晶の周期で構造修飾されたグラフェンに加えて、今年度は長方晶の周期で構造修飾されたグラフェンについて、詳細な研究を展開した。長方晶では、格子定数が二つ( a および b )あるため、(1)半導体となる構造修飾パターンの a および b 依存性、(2)半導体となる場合のバンドギャップ値のaおよびb依存性、さらには(3)長方晶で考えられる、面心に格子点が存在するブラベー格子に対応する周期構造修飾の場合について、それぞれ興味深い成果が得られた。また、構造修飾する領域のサイズに依存したバンドギャップ値などの電子構造の変化についても、六方晶系同様に解析を進めた。 他方、実験研究においては、STMを用いて周期的に原子集団を引き抜く実験を引き続き実施した。この実験では、これまでの第一原理に基づく電子構造理論研究で想定されている典型的な構造周期の長さ(数ナノメートル)に比べてかなり大きな周期・サイズでの構造修飾が行われている状況である。そこで、イオンビームを用いた構造修飾実験について、具体的な研究活動に入った。 なお、今後、理論研究で扱えるサイズを大きくするため、タイトバインディング法での電子構造予測研究も展開した。その結果、周期構造修飾されたグラフェンにおけるタイトバインディング法により得られるフェルミ準位付近のバンド構造は、第一原理電子構造計算により得られたバンド構造に定量的に一致することが確認された。今後、長周期および大面積での周期構造修飾の場合の理論と実験の対応を見る場合にタイトバインディング法が有効であると期待される結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一原理電子構造計算に基づく理論研究においては、様々なブラベー格子・格子定数に対応した構造周期を導入できることから、周期構造修飾されたグラフェンという研究対象は無限種あるともいえる状況である。その中で、得られる電子状態の構造周期パラメータ依存性などが判明しつあるため、あるパターンでの周期構造修飾系については、その電子構造の予測が可能となりつつある状況である。また、実験研究でもSTMに加えてインターカレーションを用いる研究、さらには、イオンビームを用いる研究が軌道に乗りつつある状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
理論研究においては、これまでの多様な周期構造修飾系の研究に加えて、各格子点における構造修飾の不均一性の効果の解明などが、今後の課題となる。実験研究では、イオンビームを用いた構造修飾の微細化が重要な課題となる。それぞれ、本プロジェクトの後半2年間で重点的に進める必要がある。
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Research Products
(7 results)