2021 Fiscal Year Annual Research Report
Theory of Nonequilibrium Quantum Phenomena in Correlated Systems
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19H01838
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 則雄 京都大学, 理学研究科, 教授 (10169683)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非平衡 / 強相関系 / 非エルミート現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は非平衡領域にある強相関量子凝縮相において、レーザー誘起の量子相転移や実時間ダイナミクスなどに焦点をあてた研究を行うとともに、非平衡量子系に対する「強相関 非エルミート量子物性」という新しい視点からも研究を進めることを目的としている。2021年度に得られた主な成果についてまとめる。 〇2体ロスを含む冷却フェルミ系の超流動に現れる特異な振動現象を見出した。さらにロスの影響が強くなると、ダイナミカルな相転移が生じることを明らかにした。 〇非エルミートトポロジカル近藤絶縁体を理論的に解析した。自己エネルギーの虚部に起因する例外点が表面電子状態に特徴的な相関効果をもたらすことを見出した。 〇時間周期的に駆動された非線形量子系において、実時間ダイナミクスに現れるトポロジカルな性質を調べ、ダイナミクスにトポロジカル相転移が現れることを見出した。また、乱れの効果によりトポロジカル相転移がならされることを示した。 〇ひねり2層グラフェンの電子状態に対して、3状態ポッツNematicityの出現条件を調べた。ギンツブルク・ランダウの現象論とミクロなモデルの平均場近似による計算で、ファンホーブ特異点に対応する電子密度付近で、ネマティック状態への弱い1次転移が生じ、この相転移は超音波吸収の異常として検知できることを明らかにした。 〇磁場を含む電子流体力学の定式化を行い、磁場と幾何学的効果の絡み合いで光学応答に非相反の性質を持つ特異な性質が現れることを明らかにし、実験のセットアップも提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり順調に研究が進んでいる。 まず、散逸効果を含む冷却フェルミ系超流動で見出した特異な振動現象とダイナミカル相転移は、散逸下にある超伝導の非平衡ダイナミクスの新たな切り口を与えるものである。これに関連して、非線形量子系での実時間ダイナミクスに現れるトポロジカル相転移の理論的発見も、非平衡・非線形・トポロジーの協奏による新奇な現象として面白い。 今年度新たにテーマとして取り上げたひねり2層グラフェンのネマチック相に関する研究では、現象論と平均場によるミクロな計算で、3状態ポッツネマティック状態への弱い1次転移が生じることを明らかにした。特に、この相転移が1次転移温度付近の超音波吸収の発散的な増大として観測可能であることを示したので、今後、ネマチック相の実験的な同定に役立つものと思われる。 昨年度の研究を引き継いで行った非エルミートトポロジカル近藤絶縁体の理論、および電子流体力学における幾何学的効果のテーマにおいても、上記のように着実な成果が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの非平衡量子多体系の研究を継続するとともに新たなテーマにも研究を広げる。まず、非平衡量子多体系の典型例として、散逸をもつ低次元磁性体の臨界現象を調べる。これと並行して、多成分の内部自由度を持つ1次元非エルミート系の普遍的な性質を明らかにする。さらに、低次元電子流体の理論研究を拡張する。具体的テーマとして以下のものを扱う。 ○非平衡量子効果の中で特に散逸に注目し、散逸を含む低次元磁性体の臨界現象を調べる。厳密解、共形場の理論、密度行列繰り込み群を非エルミート系に拡張したものを解析手法として総合的に用いる。冷却原子系を念頭において実験的なセットアップも提案する ○上記の研究を、より一般の非平衡量子系に応用するため、内部自由度をもつ非平衡量子多体系に研究を展開する。具体的な系として、散逸を含む一次元多成分量子多体系の臨界現象を調べる。特に、これまでほとんど研究がなされていない多成分・非エルミート朝永ラッティンジャー液体の普遍的性質を明らかにする。 ○電子流体理論のさらなる拡張を行う。流体力学領域にある電子系に対して、空間反転対称性の破れと磁場の相乗効果による非線形現象の解析を行う。特に電子流体における非相反効果に重点を置く。
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Research Products
(17 results)