2019 Fiscal Year Annual Research Report
Fluctuation of the orbital/charge degree of freedom and novel physical properties in strongly correlated electron systems
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19H01853
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
勝藤 拓郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00272386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝川 貴司 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90251397)
奥田 哲治 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (20347082)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 軌道自由度 / 揺らぎ / 一軸歪 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) BaV10O15の軌道秩序の相転移ダイナミクスについて、電気抵抗率、磁化率、歪における時間依存性を測定した結果、それが核生成-核成長モデルに従うこと、また転移温度以下において変態時間が低温と転移温度に向かって長くなるU型のカーブを描くこと、その温度依存性から軌道秩序相と無秩序相の間の界面エネルギーが求まることを見出した。このような相転移ダイナミクスは、無機物における電子相転移においては、初めて見出されたものである。 (2) 130Kで軌道秩序を起こすBaV10O15について、一軸歪下の光学反射率測定を室温で行った結果、b軸方向への歪によって等方的なスペクトル変化が生じ、圧縮の場合は低温への変化に、引っ張りの場合は高温への変化にそれぞれ対応したスペクトル変化となることを見出した。さらにこのb軸は、転移温度以上で温度変化が最も大きな軸であることも見出した。これらの結果は、軌道自由度と歪が結合したモデルにおいて、軌道自由度の揺らぎを考慮することで定性的に理解できる。 (3) Vのダイマー構造をとるSr2VO4とVの一部をNbで置換した物質について、熱伝導度を測定した。その結果、母物質のSr2VO4のフォノン熱伝導度は低温にむけて増大し、50K付近で最大になった後に減少するが、Vサイトのうち3%をNbで置換した物質においては、低温でのフォノン熱伝導度は増大しなかった。このことは、母物質では軌道が秩序化しているが、Nbを導入することにより電子の遍歴性が高まり、軌道が無秩序になって、それがフォノンを散乱するためであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
BaV10O15の相転移ダイナミクスが核生成-核成長モデルで記述できることの発見と、それに伴う界面エネルギーの見積もりなど、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定からさらに加速して進めていく
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