2019 Fiscal Year Annual Research Report
Glass transition and dynamics in thin polymer films
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19H01865
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
深尾 浩次 立命館大学, 理工学部, 教授 (50189908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 潤 立命館大学, 理工学部, 助教 (50708542)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高分子薄膜 / 積層膜 / 中性子反射率 / ガラス転移温度 / 移動度 / 重水素化 / 散乱長密度 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究目的にあるように高分子積層膜での界面相互作用が高分子薄膜のガラス転移ダイナミクスに与える影響を系統的に調べるために、重水素化ポリメチルメタクリレート(d-PMMA)薄膜と重水素化していないポリメチルメタクリレート(h-PMMA)薄膜の2層積層膜を作成し、等温アニール過程での実時間中性子反射率測定をJ-PARC MLFのBL16において実施した。さらに、同様の測定をポリスチレン(d-PSおよびh-PS)に対して実施した。得られた結果をまとめると以下となる。 1) d-PMMAのガラス転移温度Tgがh-PMMAのTgよりも高い場合は、d-PMMA層の膜厚が時間とともに増加し、h-PMMA層の膜厚は減少した。逆に、h-PMMAのTgの方が高い場合は、h-PMMA層の膜厚が増加し、d-PMMA層の膜厚が減少することが観測された。次に、h-PMMA層の膜厚を固定した条件で、d-PMMA層の膜厚を減少させたところ、d-PMMA層および h-PMMA層の膜厚の変化と、それに伴う、d-PMMA層からh-PMMAへの分子の移動度(mobility)の明確な増加が観測された。これらの実験結果から、d-PMMAと h-PMMA2層膜に対する中性子反射率測定により、高分子薄膜における移動度の増加、すなわち、ガラス転移温度の低下が明確に観測されたことがわかる。 2) PMMAで得られた結果とほぼ同等の結果がd-PSとh-PSの積層膜に対しても観測された。つまり、1)で得られた結果の普遍性の存在が示唆される結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PMMAで得られた結果の普遍性がPSに対しても得られた。また、中性子反射率データの解析に際して、各層の散乱長密度をうまく定義することにより、分子の移動度の妥当な定量化に成功した。これら新たな結果に合わせて、これまでの関連の測定により得られた結果とを合わせて、2019年度内に学術雑誌に掲載することが可能となった。計画通り研究が進めば、このような成果が得られることが期待されていたため、本研究は当初の予定どおり進展しているとの判断が適切であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 令和2年度は、さらなる中性子反射率測定を実施するとともに、他の高分子系への拡張も視野にいれる。また、界面による効果をより明確に観測するために、ナノコンポジット系でも類似の測定を行いたいと考えている。これらに関する測定をこれまで以上に進める予定である。 2) 得られた研究結果は国際会議などで発表して行きたい。誘電分光国際会議(BDS2021)が2021年9月にSan Sebastianで開催される。それを目指して頑張って行きたい。当初、この会議は2020年9月に開催予定であったが、新型コロナウィルスの関係で、1年延期になって、2021年開催となった。
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Research Products
(5 results)