2020 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental verification of beta effect on symmetry and heat/turbulent transport in advanced heliotron configuration
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19H01875
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 進二 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (70346055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 慎介 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (00469610)
鈴木 康浩 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (20397558)
仲田 資季 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40709440)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 磁場閉じ込め核融合 / 先進ヘリカル配位 / ベータ効果 / ビーム放射分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁場閉じ込め型の核融合プラズマでは経済性の観点から磁気圧力に対するプラズマ圧力の比(ベータ値)を高くした、高ベータプラズマでの運転が望ましい。一方でベータ値の上昇に伴って閉じ込めの劣化・不安定性の発現が予想されており、その対策が求められている。先進ヘリカル配位はベータ値の上昇にともなう反磁性効果・シャフラノフシフトによる平衡の変化をあらかじめ予測し、目標とするベータ値のプラズマにおいて輸送の改善・配位対称性の向上(ベータ効果)を期待して配位設計されている。本研究課題では、先進ヘリカル配位におけるベータ効果を実験的に検証する。具体的に京都大学エネルギー理工学研究所の先進ヘリカル装置ヘリオトロンJを研究対象として、(1)高ベータプラズマ生成のための運転領域の拡張、(2)乱流揺動計測を目指したビーム放射分光装置の開発および、(3)高ベータプラズマにおける輸送と径電場、乱流揺動との関連性を明らかにすることを実施する。 現在まで、下記2点の成果が得られた。(1)高ベータプラズマ生成のために開発した予備電離手法の特色および内在する物理の理解が進み、磁場強度・加熱パワーに対する運転領域が格段に広がったことで、高ベータプラズマの輸送研究に向けた環境を整備した。(2)乱流揺動計測に必要なビーム放射分光装置の必要条件を洗い出し、その条件を満たすための方策を策定することで、必要となるワイドダイナミックレンジ・高感度検出素子を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は(1)ビーム放射分光装置ためのワイドダイナミックレンジ・高感度検出素子の開発、および(2)高ベータプラズマ生成のための予備電離手法の内在する物理を解明した。以下に詳細を述べる。 (1)一般的にプラズマ内部の乱流揺動強度はその物理量の平均値の0.1%オーダーと考えられており、微弱な揺らぎを観測するための対策が必要である。近年開発が進んでいる高感度マルチピクセルフォトンカウンティング(MPPC)素子を、従来の2倍のダイナミックレンジを持つように改良した。微弱光計測の際に必要となるワイドダイナミックレンジ・高感度検出素子を開発した。また、検出素子の熱雑音低減のための冷却設備を整備した。 (2)高ベータプラズマ生成のためには磁場強度に依存しないプラズマ着火手法を開発する必要がある。本研究課題では非共鳴マイクロ波による予備電離プラズマを生成しNBI加熱に移行する手法を考案し、その物理過程を調べた。今年度は予備電離プラズマの特性を調べ、予備電離プラズマ中に発生するMeVクラスの高エネルギー電子の特性を詳細に調べた。その結果、高エネルギー電子は非共鳴マイクロ波による電磁波により確率的に加速されていることがわかった。この現象は天体・宇宙プラズマでも観測されており高エネルギー宇宙線の起源とも考えられているため、今後の展開が期待される。上記成果により、磁場強度およびNBIパワーに対する運転範囲が格段に広がり、高ベータプラズマの輸送研究に向けた環境が整備された。
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Strategy for Future Research Activity |
課題解決のためには、(1)乱流揺動計測を目指したビーム放射分光装置開発の継続、(2) 高ベータプラズマ生成に向けた運転シナリオ構築、および(3)高ベータプラズマの輸送特性解明が必要である。 令和3年度は主に(1)および(2)について進める。具体的にビーム放射分光装置開発として 乱流揺動計測を目指した機器の整備を行う。令和2年度に開発した受光素子を実際のプラズマ計測に適用する。また、ビーム輝線の受光感度向上のため大口径光ファイバー・レンズ・ミラーで構成されるおよび真空容器内に設置するミラーで構成される低いFナンバーを持つ受光光学系を整備する。ミラーは高真空(10e-6 Pa)・強磁場(2T)環境下、およびプラズマからの熱負荷に耐性を持つ必要がある。加えて、可視光領域の高い反射率が求められる。そのためステンレス基板に誘電体多層膜を蒸着したミラーを整備する。 (2)高ベータプラズマ運転に向けた粒子補給法の検討 プラズマの高ベータ化に向けた運転シナリオ構築には、加熱・粒子補給制御、リサイクリング制御が重要となる。今年度は高密度プラズマが得られている単パルス高強度ガスパフ法に加え、水素ペレット入射を組み合わせた運転シナリオを検討し、より高密度プラズマ生成を目指す。同時にビーム放射分光による密度揺動計測、および荷電交換再結合分光による径電場計測を通じて高ベータプラズマの輸送特性解明に向けたデータ取得を開始する。
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Research Products
(15 results)