2019 Fiscal Year Annual Research Report
Deciphering string axiverse from multi-wavelength observations of gravitational waves
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19H01894
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浦川 優子 名古屋大学, 理学研究科, 招へい教員 (80580555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北嶋 直弥 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50737955)
西澤 篤志 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90569378)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アクシオン / 重力波 / 暗黒物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、重力波観測を通じてアクシオン暗黒物質の痕跡の探査を行うことである。2019年度には以下の研究を行なった。 浦川、北嶋は、指導学生の福永とともに、重力波生成を引き起こすアクシオンの自己相互作用による共鳴不安定性の機構について調べ、どのようなアクシオン模型においてどのタイプの共鳴不安定性が起こるのかを明らかにした(Fukunaga, Kitajima, Urakawa, Journal of Cosmology and Astroparticle physics, 19)。また、浦川は、指導学生のPatelらとともに、アクシオンとゲージ場の相互作用を通じた共鳴不安定性の機構について調べ、その応用として、初期宇宙における磁場の共鳴的生成機構について調べた。その結果、最大10^{-15}Gauss程度の銀河間磁場が生成可能であることがわかった(Patel, Tashiro, Urakawa, Journal of Cosmology and Astroparticle physics, 20)。この研究は、2020年度に行うゲージ場の共鳴生成を通じた重力波生成に関する研究の基盤となる。 研究事業開始当初は予定していなかった研究として、浦川は、(Jung, Kim, Soda, Urakawa, Physical Review D 20)において、アクシオン暗黒物質による誘導放出を通じて、地上重力波干渉計LIGOで観測される周波数帯の重力波スペクトラムにピークが形成され、これを通じてアクシオン暗黒物質の検出が可能であることを示した。 これらの成果を通じて、重力波生成機構に関する理論面の整備を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、重力波観測を通じてアクシオン暗黒物質の探査を行う上で、主に重力波生成機構に関する理論面の整備を行った。重力波生成をもたらす、アクシオンが引き起こす共鳴不安定性の機構について、基本的な理解が構築された。また、研究事業開始当初は予定していなかった研究として、(Jung, Kim, Soda, Urakawa, Physical Review D 20)において、現行機である地上重力波干渉計LIGOを通じた、新たなアクシオン暗黒物質の探査方法を提案することができた。 COVID19の影響により、国際会議への実地参加を延期せざるを得ない状況となり、予算の繰越を行ったが、2020年度には代替案としてオンライン開催の会議に参加し、成果発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に得られた成果をもとに、2020年度は、アクシオン暗黒物質が引き起こす共鳴不安定性による重力波生成機構の定量的評価を行い、観測可能性を具体的に検証していく。また、(Fukunaga, Kitajima, Urakawa, Journal of Cosmology and Astroparticle physics, 19)で得られた知見を応用し、浦川、北嶋は、QCD axionのミニクラスター形成について調べる。 2020年度も、COVID19の影響により国際会議、研究打ち合わせの実地開催は困難であるが、メール、zoomなどを通じて研究打ち合わせを行い、研究計画の遅延を生じないようにする。またオンライン開催の国際会議に参加し、成果発表を行う。
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Research Products
(17 results)