2020 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical study of the mass and angular momentum distribution of primordial black holes
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19H01895
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳 哲文 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (60467404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 博督 早稲田大学, 高等研究所, 准教授(任期付) (40633285)
原田 知広 立教大学, 理学部, 教授 (60402773)
佐々木 節 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任教授 (70162386)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 原始ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
初期揺らぎの統計性に,非ガウス性を取り入れた場合のこれまでよりもより正確な原始ブラックホール量の見積もり方法を開発し,モデル計算を行って成果として発表した.また,非ガウス性を特徴づけるパラメータの特定の範囲においては,これまでの原始ブラックホール形成条件が適用できないことがわかり,数値計算を行うことで,その範囲に対しても適用可能な,新しい原始ブラックホール形成条件を提案した.具体的なインフレーションモデル(ultra-slow roll)から示唆されるタイプの非ガウス性を用いて,ピーク理論に基づいた正確な原始ブラックホール量の理論的見積もりを行ったのは本研究が初めてであり,非ガウス性の影響を理解する上で重要な研究成果と言える. 無質量スカラー場と輻射流体の混合系を考え,相対的な物質密度の揺らぎ(等曲率揺らぎ)によって原始ブラックホールが形成されうることを球対称数値シミュレーションによって初めて示した.これは原始ブラックホール形成の新たな可能性を開拓する非常に意義深い研究成果と言える.また,この計算の過程で,今後の研究計画に不可欠となる格子細分化法をシミュレーションに取り入れることに成功した. 原始ブラックホールの質量が小さいとホーキング輻射によって蒸発してしまい,現在の宇宙に痕跡を全く残さないと思われていたが,ブラックホールの空間分布の揺らぎによる2次重力波を考慮すると,既に蒸発してしまった原始ブラックホールの生成量に対しても,有意な制限が付けられることを発見した。 宇宙のインフレーション期と元素合成期の間の宇宙の進化についての様々な可能性について議論する総説のなかに,原始ブラックホール生成の可能性とその観測的制限を位置づけた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非球対称原始ブラックホール形成シミュレーションにおいて,中心付近で当初の予測よりも高い解像度が必要となることが判明し,数値計算コードの開発において遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
中心付近の解像度を上げる格子細分化法の導入について,球対称コードを用いた解析において目途がついたので,今後は非球対称コードにこれを組み込むことで回転する原始ブラックホールシミュレーションの実現を目指す. 等曲率揺らぎによる原始ブラックホール形成,物質優勢期の原始ブラックホール形成のシミュレーションについても順次研究を進めていく.
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Research Products
(27 results)