2020 Fiscal Year Annual Research Report
The search for double beta decay with a dark matter detector
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19H01920
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山下 雅樹 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 特任准教授 (10504574)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 二重ベータ崩壊 / ニュートリノ / 液体キセノン検出器 / 低バックグラウンド |
Outline of Annual Research Achievements |
ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊(0ν2β)探索実験はニュートリノ質量の情報を得られることが期待され、素粒子・原子核物理だけなく宇宙物理の観点からも注目を浴びている。 一方、地下実験における暗黒物質直接探索の技術進展は近年目覚ましいものがあり、検出器の大型化, 主に放射線に関連した低バックグラウンド化を着実に実現してきた。 暗黒物質探索と0ν2β探索の大きな違いは探索を行うエネルギー領域にある。暗黒物質直接痰濁では10keVまたは、それ以下であるが、136Xeのニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊のQ値は2458 keVとなりエネルギー領域が2から3桁異なる。しかしながら、本研究では、低バックグラウンド、高エネルギー分解能の特性を生かし、大型暗黒物質探索検出器(XENONnT)を用いて 暗黒物質だけでなく、0ν2βの探索を行う。 XENONnT 検出器は当初の予定では、イタリアGran Sasso地下実験施設にて2019年に建設終了、2020年より試運転の予定であったが、現在COVID-19の影響のため、実験開始が現在で遅れが出ている。しかし、今年度は最終段階である検出器周りの水チェレンコフ中性子カウンターの設置が終了し、検出器も液体キセノンで満たすことができた。 その後、各サブシステムのコミッショニングが行われ、期待通りの性能が得られた。特に、シンチレーション光、電離電子を読み出す二相型キセノンTime Projection Chamberでは十分な信号を得るためにキセノンの純化が重要となるが、申請者の担当するキセノンの液相による純化システムが期待以上の性能が得られ、電離電子の電子寿命にして7 ms以上が得られ電離電子の最大ドリフト長の2倍以上の結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定ではXENONnT検出器はイタリアGran Sasso地下実験施設にて2019年に建設終了、2020年より試運転の予定であったが、現在COVID-19パンデミックの影響のため、実験開始に半年以上の遅れが出ている。コラボーレーションメンバーの現地への出張が制限され、また、それに伴い、各サブシステムのインストールの遅れが理由である。 しかし、現地メンバーとオンラインでの綿密なコミュニケーションをとることで、今年度は検出器周りの水チェレンコフ中性子カウンターの設置が終了し、検出器本体も液体キセノンで満たすことができた。 その後、各サブシステムのコミッショニングが行われ、期待通りの性能が得られた。特に、シンチレーション光、電離電子を読み出す二相型キセノンTime Projection Chamberでは十分な信号を得るためにキセノンの純化が重要となるが、申請者の担当するキセノンの液相による純化システムが期待以上の性能が得られ、電離電子の電子寿命にして7ms以上が得られ電離電子の最大ドリフト長の2倍以上の結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
* 申請者の開発した低ラドン・液体キセノン用純化フィルターを用いて引き続き純化の運転を行い、TPC内の液体キセノンを酸素不純物相当にして1ppb以下に抑える。 * 検出器の電場を調整を行い、83mKr内部線源を用いて検出効率を同定する。 * その他、校正線源を用い、エネルギー校正など検出器のパラメータを抑え、初夏からの観測データ開始を目指す。 * 校正データを用いてコンプトン散乱による多重散乱識別のための解析を機械学習を用いてすすめる。 * XENON1Tでの二重ベータ崩壊探索の結果をまとめ、バックグラウンドモデルなど知見をXENONnT活かし、探索を行う。
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Remarks |
異動にともない、 Webアドレスを2021月4月のものに変更。
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Research Products
(8 results)