2019 Fiscal Year Annual Research Report
Beating the standard quantum limit with broadband quantum locking for the space gravitational wave detector DECIGO
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19H01924
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川村 静児 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40301725)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 原始重力波 / DECIGO / 量子ロッキング / 標準量子限界 / 光バネ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、スペース重力波アンテナDECIGOが、宇宙誕生直後のインフレーションの期間に生成された原始重力波の検出をより確実に行えるように、我々が考案した、光バネを用いた量子ロッキングの有効性を実証し、DECIGOの目的感度を改善することである。2019年度には、理論面では、光バネ付き量子ロッキングの詳細な理論解析を行い、実験面では、古典雑音で量子雑音を模擬し、量子ロッキングの原理検証実験を行う計画であった。 今年度の研究実績は、まず理論面においては、量子ロッキングの効果を評価する方法として平方完成を利用した手法を考案し、それを用いて量子雑音の最適化を行った。従来は、量子雑音の大きさが、共振器の制御特性に依存することから、量子雑音の最適化が非常に困難であったのだが、この手法により共振器の制御特性に関係なく量子雑音の最適化を行うことができるようになった。我々は、この成果を、論文としてまとめ、Phys. Lett. Aに発表した。また、実験面においては、固定鏡を用いた主光共振器システムを構築し、その振る舞いの特性評価を行った。具体的には、レーザー、光共振器、位相変調・復調システム、モードマッチングシステム、光アイソレーターシステム、制御システムなどを設計・構築し、これらを動作させた。光共振器の制御は、固定鏡に取り付けたピエゾ素子および、レーザー共振器のピエゾ素子をアクチェーターとして2種類の方法で行われた。また、ビームプロファイルや制御の伝達関数などの測定も行った。現在、制御動作の一層の安定化を目指して調整を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論面では、平方完成を利用した量子雑音の最適化方法を新たに開発し論文として発表するなど、当初の計画を上回る進展状況であった。 実験面では、本来は光共振器を2台動作させたかったのだが、1台しか動作させられなかった。したがって、進展としては若干遅れ気味であった。 これらを総合すると、研究全体としては、「おおむね順調に進展している。」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、理論面においては、前年度に開発した平方完成を用いた手法により、光バネを利用した量子ロッキングの最適化を行う。また、実験面においては、主共振器システムを整備し、補助共振器システムを追加構築する。そして、固定鏡を用いた古典雑音による模擬実験を行う。ショットノイズはレーザーの位相雑音を発振器により印加して模擬する。また、輻射圧雑音に関しては、固定鏡に取り付けられたピエゾ素子を使って鏡を振動させることにより模擬する。これらの模擬量子雑音が本手法により低減することを確認する。 本研究は、研究代表者の川村の統括のもと、西澤助教(東大ビッグバン)、黒柳特任助教(名大)らの研究協力者の協力を得て、学部生1名、大学院生2名が中心となって実験装置の設計、製作、計測や理論的な数値計算を行って、実際の研究を遂行する。また、カリフォルニア工科大学のAdhikari教授にもアドバイザーとして研究に加わっていただく。
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