2021 Fiscal Year Annual Research Report
Beam Particle Identification for Cascade Baryon Spectroscopy
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19H01925
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
成木 恵 京都大学, 理学研究科, 准教授 (00415259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白鳥 昂太郎 大阪大学, 核物理研究センター, 助教 (70610294)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハドロン分光 / バリオン分光 / ハドロン反応 / ハドロン構造 / 測定器 |
Outline of Annual Research Achievements |
J-PARCハドロン実験施設では、近年高運動量ビームラインと呼ばれる施設が稼働を開始した。現在は一次陽子をビームとして供給している。これを二次粒子を輸送できるビームラインとして利用する計画がある。このような新しい機能が実現されると、世界で唯一、高運動量領域における二次粒子ラインが完成することとなる。この好機に際し、本研究ではビーム粒子のための粒子識別検出器を開発している。 二次粒子ビームライン実現に向けて、まず現在のレイアウトにおいて一次陽子に混入する二次粒子の生成および輸送量の測定を実現させた。この結果より、開発中の検出器について、想定される運動量領域の粒子を実際に性能試験に用いる可能性が開かれた。 また、これまでに検討してきた読み出し回路の選定を行った。当該検出器は、エアロジェル輻射体を用い、ビーム粒子に対して発生したチェレンコフリングのイメージを検出し、粒子識別を行う。特に、現行施設での最大運動量である2GeV/cを超えて,5GeV/cのK中間子を利用することができれば、これまでに実験的な情報が乏しかったΞ粒子の分光研究が可能となる。このとき、K中間子に対してπ中間子が2桁から3桁ほど多く生成されてしまう。従って、大量のπ中間子を除去し、能動的にK中間子のリングを識別する機器が重要となる。本研究では、チェレンコフ光の検出にMPPCを用いる。想定されるビーム計測率が高いことから、これに対応した読み出し回路が必要となっていた。これまでにいくつかの可能性について検討を重ねた結果、最適な回路を選定し、かつ入手することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検出器の開発において、輻射体の選定、読み出し回路の選定が進み、基本的な光学系の設計と重要な物品を揃えることができた。今後は実機の完成に向けた現実的な容器やレイアウトのデザインを進める段階まで来たと言え、おおむね予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、輻射体、光センサ、鏡などの光学機器を納める容器、鏡の調節機構の開発を進める。質量の異なる粒子ごとに、チェレンコフリングイメージの径が違うことを利用して、大きく生成量の異なるπ中間子とK中間子を識別する検出器である。従って、最終的な性能を評価するために、想定されるこれらの二次粒子を用いた性能試験を実施することが望ましい。これはJ-PARC高運動量ビームラインの二次粒子化のスケジュールに依存するところがある。研究期間内に二次粒子化が間に合わない場合には、電子などによって擬似的なリングを発生させて性能試験を実施する予定である。
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