2019 Fiscal Year Annual Research Report
山口干渉計を用いた誕生直後の大質量原始星候補の大規模探査
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19H01937
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
元木 業人 山口大学, 大学院創成科学研究科, 講師 (10722803)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電波天文学 / 大質量星形成 / 電波干渉計 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年は大規模探査の準備として山口干渉計の性能測定と観測装置の整備を中心に研究を行なった。以下に項目ごとの詳細を述べる。 (1) 性能測定: 既知の遠方クェーサを用いた長時間積分の試験観測を行い、最低30分間は干渉計としての位相安定度が保たれていることを確認した。また30分積分による検出感度は信号雑音比7で3 mJy程度であり、十分に本格的電波源探査に耐えうる性能があることを確かめることができた。 (2) 観測装置の整備: データの一時バッファーとして用いるRAID BOX (12TB)について配備を行なった。また相関処理に用いる新規計算機の増設を行い、並列処理体制の整備を完了した。 (3) パイロット探査: 上記整備を完了後、解析手法を確立するため、探査対象となる赤外線暗黒星雲内のコアを対象としたパイロット観測を行なった。観測は質量の大きい20天体を対象に8GHz帯で30分積分を行い、原始星ジェットと思しき電波源を探査した。その結果として6天体で3-6 mJy程度の微弱な電波源を検出できた。今後は天体数を増やして探査を進める予定である。 (4) 問題点の洗い出し: 試験観測を行なった結果、1: 人口信号の混信、2: 近傍HII領域からの信号漏れ込み、の2つの問題が明らかになった。前者については相関処理時のサーチ窓範囲を調整することで除去できることを確認した。後者についてはオフライン処理での除去は難しく、事前に近傍HII領域を伴うコアを避ける必要があることがわかった。 (5) 研究会の開催: 第質量星形成WS2020を開催し、研究計画の紹介や今後の展望について議論を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
山口32m電波望遠鏡の駆動系にトラブルが発生した。このため当初予定よりも探査開始が2ヶ月ほど後ろ倒しとなった。また人口信号の混信が発生しており、除去方法の確立に時間を要した。いずれもトラブルはすでに解消しており、今後は順調に観測が進むと思われる。またコロナウィルスの発生に伴い予定していた学会発表などが複数件キャンセルになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに観測体制が整ったことから令和二年度以降については本格的に探査とモニター観測を進める予定である。また当初想定よりも近傍HII領域の付随する天体が多く、観測への影響がみられるため、カタログの精査を行なって再度天体選定行う予定である。また山口干渉計で検出できた天体については茨城大学が運用する日立-高萩干渉計を用いて追観測を行い、正確な位置を決定する予定である。
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