2020 Fiscal Year Annual Research Report
山口干渉計を用いた誕生直後の大質量原始星候補の大規模探査
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19H01937
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
元木 業人 山口大学, 大学院創成科学研究科, 講師 (10722803)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電波天文学 / 電波干渉計 / 大質量星形成 / 原始星ジェット / 赤外線暗黒星雲 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 本探査の開始: 初年度の試験観測を元に星なしと分類された赤外線暗黒星雲78天体に対する探査観測を行なった。信号雑音比7以上で検出された天体は32天体で検出率は40パーセントほどであった。このうち19天体は非常に明るく、背景の活動銀河核であると推定された。一方残り13天体は20 mJy以下の微弱天体であった。既知の電波源カタログとの比較の結果これらは少なくとも既知のHII領域や活動銀河核である可能性はないことが明らかになった。これら微弱な検出天体と非検出天体について母体である赤外線暗黒星雲の物理量を比較した結果、これらの13天体は明らかに低温高密度の雲に付随している傾向が見られた。このことから、これまで星なしと分類されていた雲の中にいる原始星からの電波連続波を捉えた可能性が高いと考えられる。 (2) モニター観測の開始:過去2年度に検出された微弱天体10天体について月1回のモニター観測を開始した。その結果5天体について3回以上の検出に成功した。2天体でおよそ30パーセント、1天体で60パーセントの強度変動が確認された。これは過去に他の原始星ジェット天体で行われた年間隔のモニター観測結果と矛盾しない結果であり、ジェットの変動を捉えることに成功したと考えられる。 (3) 較正手法の改善: 振幅較正方法について調査を行なったところ、活動銀河核を利用した較正よりも既知の超コンパクトHII領域を用いた方が精度が良いことが判明した。また観測時のポンティングズレや人工信号に関して、発生する方角などについて系統的な傾向が把握されたため改善を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
使用している望遠鏡について受信系/駆動系のトラブルが発生し、観測停止時期が発生したため、予定していたより観測天体数が減少した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果から得られた新たな較正手法を取り入れ観測を実施する。(1) 観測中に5点法ポインティング補正スキャンを定期的に実施する (2) 振幅較正天体として活動銀河核と超コンパクトHII領域の2つを併用する。これらによる1回あたりのターゲット観測時間の減少については観測実施回数を増やすことで対応する。
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