2019 Fiscal Year Annual Research Report
サブミリ波偏波観測の革新が導く, 磁場を含む星形成ガス像
Project/Area Number |
19H01938
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
古屋 玲 徳島大学, 教養教育院, 准教授 (60455201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 一成 国立天文台, 天文シミュレーションプロジェクト, 助教 (50750379)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 星の形成 / 分子雲 / 磁場 / サブミリ波 / 偏波 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハワイ島マウナケア山頂付近のサブミリ波望遠鏡JCMTに搭載した, サブミリ波直線偏波撮像装置POL-2を用いたサーベイ観測が本研究の根幹を成す. マウナケアにおける30m望遠鏡建設反対運動のため観測が中断したが、初冬には再開した。さらに2年間の観測期間延長が認められ、対象天体をガス質量と進化の2軸パラメタ空間で拡張できた。
データ解析においては、450 ミクロン帯の機械的偏波除去に取り組み、無偏波天体に対する測定残差から較正する方法と光学設計に基づき較正する方法が整合し、見通しがたった。これにより、偏波率スペクトルの議論が可能となった。これを受け国際研究集会における招待講演の機会をいただいた。
これまでに明らかになったことは、(i) 分子雲から原始星を形成する際、構造形成を2回経るが、磁場が制御する空間スケールを(1天体ではあるが)明らかにした。(ii)巨大分子雲におけるフィラメント状分子雲の磁場構造を初めて明らかにし、低質量星を形成するフィラメントに比べ1桁柱密度が高くてもほぼ同様の物理であること、(iii) 巨大分子雲におけるフィラメントと直交する構造の磁場構造は、従来、考えられていた方向とは直交することである。これはフィラメントと直交する構造においては磁場に沿ったチューブ内を物質が降着するという描像に疑問を投げかける。以上は、論文作成中である。なお、2019年度は本科研費の補助を受けた査読論文4編が受理された。さらに新しい方向性として、ダイナモ理論による銀河磁場駆動を検証する理論予測論文を3月に投稿した。本科研費研究終了後を見据え、新しい観測装置開発の国際共同研究も開始した。報告者はサブミリ波偏波観測による磁場研究のWhite Paperをまとめた。さらに星間磁場研究のレビュー誌の編集委員を務めたため、本科研費研究の狙いをシャープにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外的要因による遅れのみである。具体的には「研究実績の概要」に述べたようにハワイ島マウナケア山における観測が当初見込みより, 半年以上,遅れている(30m光学赤外線望遠鏡建設反対運動と新型コロナウィルス対策のため観測所が2019年7月上旬から9月まで, および2020年2月以降閉鎖)。このため銀河系中心近傍の赤外線暗黒星雲の研究は着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度重点的に取り組む研究は以下の通りである。 (1)へびつかい座分子雲中心部において取得した450ミクロンデータの集中解析を終わらせ、他波長データとの比較によりダスト熱輻射の偏波率スペクトルを導出する。これにより、ダストの光学偏波特性モデルに観測的制限をつけたい。 (2)おうし座分子雲中のフィラメントにおいて形成途上の原始星周囲の磁場および星無し分子雲コアの磁場とフィラメントの関連性の研究を完遂する。これにより、進化のどの段階で母体分子雲の磁場は母体からdecoupleするのか、それは分子雲コアの重力収縮の初期条件決定にどのような影響を与えるかを明らかにする。このため現在、磁場構造だけでなく、速度構造および速度勾配構造との詳細な比較を行っている。 (3)我々は巨大分子雲NGC 6334の偏波観測も成功させたが、そのなかには膨張中の電離水素領域が多数含まれる。これまでのところの予備的解析では、膨張ガスと周囲の諸撃破面に沿って磁力線が圧縮されている領域を少なくとも2箇所、見いだしている。今年度はこれらの集中解析も進め、星形成のフィードバック機構における磁場の役割を観測にもとづく初めて明らかにすることを目指す。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Magnetic Fields Studies in the Next Decade: EAO Submillimetre Futures White Paper Series, 20192020
Author(s)
Furuya, Ray S.; Pattle, Kate; Coude, Simon; Ching, Tao-Chung; Mairs, Steve; Sadavoy, Sarah; Scicluna, Peter; Soam, Archana; Eswaraiah, Chakali; Safi-Harb, Samar
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Journal Title
EAO Submillimetre Futures Paper Series、eprint arXiv:2001.05753
Volume: 1
Pages: 17 pages
Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] JCMT BISTRO Survey: Magnetic Fields within the Hub-filament Structure in IC 51462019
Author(s)
Wang, Jia-Wei, Lai, Shih-Ping, Eswaraiah Chakali, Pattle Kate, Di Francesco James, Johnstone Doug, Koch Patrick M., Liu Tie, Tamura Motohide, Furuya, Ray S., et al.
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 876
Pages: 42~42
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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