2021 Fiscal Year Annual Research Report
新しいHα輝線天体検出方法による銀河面リッジX線放射を構成する点源天体の研究
Project/Area Number |
19H01939
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
永山 貴宏 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (00533275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森鼻 久美子 名古屋大学, 教養教育院, 講師 (50640843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 輝線 / 水素再結合線 / 狭帯域フィルタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は水素原子のHα輝線を放射する星(輝線星)を効率よく発見するための新しいカメラを製作し、そのカメラを用いて輝線星のサーベイ観測を行うことを目的としており、2021年度はこのカメラの組み立て、調整を行った。調整は、各光学部品を順次追加しつつ、光学像やエンサークルドエナジーが光学シミュレーションソフトを用いて事前に求めた計算値との違いを比較しながら行った。 その途中において、本カメラで使用するCCD素子KAF-1001において、ウェル(蓄積可能な電荷量)が想定の1/3程度しかないという問題が発生した。この問題は最終的な観測において、どれだけ明るい星と暗い星を同時に測定可能かを示すダイナミックレンジに影響を与えるため重要である。まず、真にウェルが少ないのか、それ以外のパラメータが仕様値と異なるためにウェルが少なく見えてしまっているかを切り分ける必要がある。後者として、蓄積された電子1個あたりの出力電圧値(変換係数)が小さい場合が該当する。変換係数はフォトントランスカーブ法により、算出することができ、2021年度はフォトントランスファー法による実験の準備がほぼ整った段階で終わった。また、暗電流の大きさを仕様値と比較することからも変換係数を概算することができるので、並行してその測定の準備も行った。 一方、研究会において、本研究の検出原理では、そのスペクトルにおいて、酸化チタンの吸収バンドが顕著なM型星との切り分けが難しいのではないかとの指摘を受けた。この点については確かに考慮に値すると判断したので、今後、その影響などを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本来であれば、カメラは完成しているはずであったが、それが完成していないため、遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、フォトントランスファー法、および、暗電流との比較により、使用予定のCCD素子KAF-1001のウェルが少ない問題の原因究明と対策を行う。CCD のウェルが想定より小さい状態でも、仕様値の1/3程度は確保されている現状であれば、光学調整には大きな影響はないため、光学調整は並行して行う。 2022年夏ごろまでにウェル問題が解決できない場合は、少ないウェルのままでカメラはいったん完成とし、鹿児島大学の1m望遠鏡に搭載する。 明るさのダイナミックレンジが当初の計画通り得られないが、本研究の重要な点である新しい方法によってHα輝線天体が検出可能かどうかの検証は可能であるので、その点に特化して研究を進めていく。
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