2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Life Detection Microscope for searching living microorganisms on Mars
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19H01955
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
吉村 義隆 玉川大学, 農学部, 教授 (90384718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 栄一 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (30134977) [Withdrawn]
佐々木 聰 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (70262110)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 火星 / 生命探査 / 探査機器 / 蛍光顕微鏡 / 極限環境微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我が国初の、地球外、特に火星表面での生命の兆候(微生物を含む有機物)を検出する装置として開発を進めている生命探査顕微鏡(Life Detection Microscope: LDM)の実験室レベル試験機(Bread Board Model: BBM)の製作と、科学目標(1 μm/pixelの分解能と10^4 cells/gの検出感度)の実現可能性を検証することを目的としている。BBMは、試料に蛍光染色液を添加する試料装置部、試料に励起光を照射する光源部、観察と撮像を行う顕微鏡部から構成されている。視野範囲は、1 mm×0.9 mmであり、試料装置部のローターを動かしながら試料を走査し蛍光画像を取得する。2019年度は試料装置部の製作を行い、他の外部資金によって製作した顕微鏡部および光源部と合わせ、BBMを構成する装置の製作が完了した。2020年度は、試料装置部の、ローター回転機構、気密蓋開閉機構、染色液添加機構などの機能試験を行った後、BBM全体を組み立て、試料を使った染色試験を行った。 染色試験に用いた試料は、細菌(Bacillus subtilis)を培養して調整した菌液および、模擬火星土として市販されているMGS-1 Mars Global Simulant (Exolith Lab)にB. subtilisの菌液を添加した模擬火星試料を使用した。試料装置部の試料筒に試料を入れ、試料筒および、微生物をフィルター上に濃縮する限外濾過筒を、火星大気圧(7 hPa)に設定して実験を行った。火星大気圧の制御は、真空ポンプに電磁弁を取り付けたコントローラーを作製して行った。その結果、培養微生物および模擬火星試料のいずれの試料においても、試料への染色液の添加から微生物蛍光の取得まで、一連の操作を遠隔で実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの感染対策による外出自粛要請により実験が遅れたため、計画を変更し繰越申請を行った。変更後の計画は、ほぼ予定通り進展している。各装置の機能試験においては、予期せぬトラブルもいくつか生じた。例えば、試料装置部の試料筒を顕微鏡で観察した際、試料由来ではない自家蛍光が観察された。原因を探ったところ、試料筒下部の石英ガラス面に接着した遮光用金属板からはみ出した接着剤由来の蛍光であることが分かった。これに対しては、石英ガラスを取り外し、新たな石英ガラスに交換することで対応した。また、蛍光観察時に、試料由来ではない斑点模様が現れたことも予期せぬことであった。これは、励起光源に由来するレーザースペックルであることが分かり、光源に、拡散板(ディフューザー)とスペックルスクランブラを取り付けることで対応した。また顕微鏡に取り付けたカメラのセンサーは、画素数が1280×1024 pixelで視野範囲から計算した分解能は0.87 μm/pixelであり、本研究の科学目標である1 μm/pixelの分解能は満たしていたが、分解能チャートを使って実測した分解能は3 μmであった。分解能不足が懸念されたが、培養微生物を使った実験では1細胞単位で検出可能であったことから、来年度実施予定の、検出感度を検証する実験では問題が無いと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の実験としては、検出感度の検証を予定している。B. subtilisの菌液を、科学目標である10^4 cells/gになるように、模擬火星土MGS-1に添加した模擬火星試料を用いて染色実験を行い、BBMでの検出可能性を検証する。 また、2020年度は、試料装置部の試料筒および限外濾過筒に真空ポンプからのチューブをつなぎ、部分的に火星大気圧に設定して行ったが、2021年度はBBM全体(試料装置部、顕微鏡部、光源部)を火星大気圧にして実験を行う予定である。これにより、より火星環境に近い環境での動作確認ができると考えている。 今後の課題としては、1回の染色実験に時間がかかることがあげられる。実験の度に、染色液筒への染色液封入、限外濾過筒へのフィルター接着など、手間がかかる作業が多くあり時間がかかる。特に、染色液筒下部に貼り付けるアルミホイルが穿孔動作前に剥がれてしまい、染色液が試料筒に流入する事象が頻繁に起こり実験の支障になっている。これは、アルミホイルの接着方法に問題があり、火星大気圧に減圧する過程での圧力差に耐えられなかったことが原因と考えられ、2021年度は、接着方法を検討して、効率を上げて実験を行う予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Development of the Life-signature Detection Microscope (LDM) for in situ imaging of organic compounds including living cells on Mars2021
Author(s)
Yoshitaka Yoshimura, Akihiko Yamagishi, Atsuo Miyakawa, Satoshi Sasaki, Eiichi Imai, Keigo Enya, Kensei Kobayashi, Yoko Kebukawa, Tomoka Okada, Hajime Mita, Takeshi Naganuma, Takehiko Satoh, Kazuhisa Fujita, Tomohiro Usui
Organizer
COSPAR 2021-Hybrid
Int'l Joint Research
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[Presentation] 蛍光顕微鏡による火星での生命兆候探査2021
Author(s)
吉村義隆, 山岸明彦, 宮川厚夫, 今井栄一, 佐々木聰, 佐藤毅彦, 塩谷圭吾,小林憲正, 癸生川陽子, 三田肇, 佐藤直人, 丸尾裕一, 登尾浩助, 薮田ひかる, 長沼毅, 藤田和央, 臼井寛裕
Organizer
宇宙環境利用シンポジウム
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[Presentation] 火星表面探査のための生命兆候探査顕微鏡(LDM)開発の現状2021
Author(s)
吉村義隆, 山岸明彦, 宮川厚夫, 今井栄一, 佐々木聰, 佐藤毅彦, 塩谷圭吾,小林憲正, 癸生川陽子, 三田肇, 佐藤直人, 丸尾裕一, 登尾浩助, 薮田ひかる, 長沼毅, 藤田和央, 臼井寛裕
Organizer
宇宙科学シンポジウム
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[Presentation] 火星表面探査に向けた生命兆候探査顕微鏡のブレッドボードモデル開発2020
Author(s)
吉村義隆, 山岸明彦, 宮川厚夫, 今井栄一, 佐々木聰, 塩谷圭吾, 三田肇, 小林憲正, 癸生川陽子, 佐藤直人, 佐藤毅彦, 薮田ひかる, 長沼毅, 藤田和央, 臼井寛裕
Organizer
日本惑星科学会秋季講演会
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[Presentation] Search for biosignatures on Mars by the Life-signature Detection Microscope (LDM)2020
Author(s)
Yoshitaka Yoshimura, Akihiko Yamagishi, Atsuo Miyakawa, Satoshi Sasaki, Eiichi Imai, Keigo Enya, Kensei Kobayashi, Yoko Kebukawa, Tomoka Okada, Hajime Mita, Takeshi Naganuma, Takehiko Satoh, Kazuhisa Fujita, Tomohiro Usui
Organizer
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
Int'l Joint Research