2020 Fiscal Year Annual Research Report
Modeling the global ocean circulation and biogeochemical cycles in the glacial climate
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19H01963
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡 顕 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70396943)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 海洋大循環 / 海洋物質循環 / 海洋炭素循環 / 氷期気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
氷期の海洋大循環・海洋物質循環についての数値シミュレーションを実施し、さまざまな古海洋データを直接的に活用することで;、氷期の海洋大循環・海洋物質循環を定量的に再現することを目指す。本研究では、氷期のなかでも最も注目が高くデータの蓄積も最も多い時期である今から約2万年前のLGMを研究の中心の ターゲットとする。具体的には、「実験1:海洋大循環モデル・簡易気候モデルを用いたLGMのシミュレーション」をベースとして、「実験2:大西洋深層循環の指標となる Pa231/Th230比やNd同位体比のシミュレーション」および「実験3:海洋炭素循環によるLGM のシミュレーション」を実施する。本年度において、実験1については、古気候モデル比較プロジェクトで報告されているLGM実験の結果を、簡易気候モデルMIROC-liteを用いて再現するための作業を進めた。また、関連する成果として、大西洋深層循環のモデリングについての解説記事(岡,2020)を執筆した。実験2については、現在海洋におけるNdを含む希土類元素シミュレーションの結果を、近年のGEOTRACES計画で得られた観測データと比較した論文Oka et al. (2020)が出版された。初年度のPa231/Th230シミュレーションについての成果も論文にまとめて国際誌へ投稿を行った。実験3については、これまでの先行研究で十分に考慮されていなかった氷河性ダスト、南大洋成層化、炭酸塩補償過程を適切に表現することで、LGMにおける海洋炭素循環の再現性が大きく向上することを明らかにした。関連論文として、海洋炭素ポンプを分解する手法およびそれをCMIP5モデル結果に適用して解析した論文Oka(2020)が出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの課題(MIROC-liteによるLGMのシミュレーション、Pa231/Th230比やNd同位体比のシミュレーション、海洋炭素循環シミュレーション)は、それぞれ順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においても、計画通りに研究を進めていく予定である。
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