2020 Fiscal Year Annual Research Report
multi-scale interactions between atmospheric turbulence and cumulus convection
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19H01974
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西澤 誠也 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (40447892)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大気乱流 / 積雲対流 / スケール間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
積雲対流は、強い降水をもたらすなど、社会的にも重要な大気現象であり、その理解およびシミュレーションにおける高い再現性が求められている。O(1 km) 以下のスケールをもつ大気乱流は、それによる熱や水蒸気の混合を通じて、O(10 km) スケールである積雲対流に大きな影響を与えることが知られている。しかしながら、その時空間スケールの小ささから、大気乱流と積雲対流とのスケール間相互作用については理解が進んでいない。本研究では、そのスケール間相互作用を理解することを目的としている。 本年度は、孤立積雲を対象とした超水滴法を用いたラージエディーシミュレーションを行い、雲壁における乱流混合による雲内の微物理特性の変動を調べた。 雲壁における混合は、雲内の過飽和度を変化させ、雲粒子の蒸発などを通じて雲粒子のサイズ分布を変化させる。雲物理と混合の時間スケールの大小によりサイズ分布の変化が異なるが、雲壁における混合や雲粒子のサイズ分布を陽に表現した数値計算を行うことはこれまで困難であり、その理解は未だ十分ではない。 本研究では、最大12.5 m の高解像度で、雲粒子のサイズ分布を陽に表現することができる超水滴法を用いることで、雲壁における混合による雲内の微物理特性の変動を陽に表現する数値実験を行った。 混合が無い場合(断熱過程)に対する雲水量の比や雲粒子の有効半径などの雲微物理特性を調べ、その雲内での場所による違いなどを明らかにした。また、得られた特徴は、理論的に知られている均一混合の値とは異なっており、不均一混合が起こっていることを示唆していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に本課題に従事していた博士研究員が、事情により昨年度末をもって雇用を終了した。これと関連し、超水滴法を用いた現実事例の数値実験のための数値モデル開発にやや遅れが生じている。 その他の研究項目については、概ね当初の計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
やや遅れている数値モデル開発については、協力研究者と協力し令和3年度のできるだけ早い時期に終えるよう注力する。 本年度では孤立積雲を対象として乱流混合と雲微物理特性の関係を調べたが、令和3年度以降は、組織化した対流システムなど条件がことなる対流における乱流-対流相互作用について研究を進めていく。 また、令和2年3月から一般供用開始したスーパーコンピュータ「富岳」を用いることができれば、当初の予定よりもより高い解像度での実験が可能である。そのために富岳の計算資源獲得を検討する。
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Research Products
(2 results)