2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on evaluation methods for tsunamis due to ocean bottom landslides caused by great underthrust earthquakes
Project/Area Number |
19H01977
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷岡 勇市郎 北海道大学, 理学研究院, 教授 (40354526)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 健太郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), グループリーダー代理 (20554497)
富士原 敏也 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震発生帯研究センター), 主任研究員 (30359129)
中村 恭之 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震発生帯研究センター), グループリーダー代理 (60345056)
柳澤 英明 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (70635995)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 海底地すべり津波 / 地すべり津波数値計算 / 1946年アリューシャン津波 / 南海トラフ海底地すべり痕跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年間で開発した海底地すべり数値計算手法とその津波数値計算手法のさらなる高度化を実施した。今年度は深海での海底地すべりを再現するため海水を持ち上げる効果の導入を試みた。深海での海底地すべりはその速度の低下により津波の励起が減少することが確認できた。
昨年度、1929年Grand Banks地震(M7.2)による津波再現実験を実施し、津波の再現に成功した。開発された手法を用いて今年度は1946年アリューシャン津波地震の海底地すべりによる沿岸波高の再現数値実験を行った。1946年アリューシャン地震は現在知られている最も異常な津波地震(Ms7.4, Mt9.3)で、ハワイやアメリカ西海岸で大きな津波が観測されている(Tanioka and Seno, 2001)。また、沿岸で25mを超える津波が調査されている場所は比較的局所的で海底地すべりにより津波がより大きくなったことが示唆されている。数値計算の結果、超深海での海底地すべりによる津波励起は難しく、大陸棚斜面での海底地すべりにより、深海に土砂が堆積したとすることにより津波が大きく励起されることが解明された。海底地すべりによる津波のみで沿岸での25mを超える津波高は説明できていないが、地震による津波(Tanioka and Seno, 2001)を加えることで十分説明可能であることが分かった。
また、南海トラフ沖における熊野灘・紀伊水道沖を対象海域とし,効率よく海底地すべり津波のリスク評価を行うために、地すべり面を読み取りデータ化した。地すべり痕の幅が500 m 以上となる場合を対象として地すべりのパラメータの読み取りを行った.読み取った地すべり面は59地点となり.読み取った地すべり面で励起振幅が1cmを越える場合は38点となり,陸棚斜面の馬蹄形地すべりでは 2mを越える場合もあった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海底地すべりによる津波数値計算手法の高度化は順調に進んでいるが、深海での海底地すべりの再現には海水を持ち上げる効果を入れるためのさらなる高度化が必要である。 1928年Brand Banksの海底地すべりによる海底ケーブルの切断位置の再現や津波波形の再現実験は進展した。1946年アリューシャン津波地震の再現についても、大陸棚斜面での海底地すべり津波により、大きな津波が励起されることが解明された。今年度実施予定であった1998年パプアニューギニア地震津波の再現実験は、先に1946年アリューシャン津波地震の津波再現実験を実施したため、来年度に実施することとした。 さらに南海トラフ沿いでは海底地すべり痕跡調査結果を統一的に解析することで地すべりパラメータの抽出に成功し、それらの結果を用いて海底地すべりによる津波数値計算も実施中である。また、日本海溝沿いでの海底地すべり地形の痕跡調査も実施してきた。 以上より、研究はおおむね順調に進んでいると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
海底地すべりによる津波数値計算手法の開発について、深海での海底地すべりによる海水を持ち上げる効果を入れるためのさらなる高度化を行う。 1946年アリューシャン津波地震の海底地すべり津波および地震断層による津波をモデル化し、アリューシャン沿岸での津波高分布再現を完成させる。さらに、昨年度実施予定であった。1998年パプアニューギニア津波地震による津波の再現実験を実施する。1998年パプアニューギニア地震による津波は、パプアニューギニアの震源域近傍沿岸(シッサノラグーン沿岸)で極端に高かった事が知られている。その原因は、大地震により誘発された海底地すべりにより津波が励起されたこためと言われている。そこで、昨年度までに開発された海底地すべりとその津波を数値計算により再現する手法を利用して、シッサノラグーン沿岸での最大15mの津波波高分布の再現を試みる。海底地すべりの領域は地震後の海底調査によって明らかになっている領域とする。 南海トラフ沿いで昨年度までに海底地すべり面と地すべりパラメータが推定された地すべり痕跡に対し、津波数値計算を実施し、沿岸での津波を評価する。また、評価手法を提案する。日本海溝沿いでも同様の評価を実施する。 国際会議での発表を行い、研究成果を公表するとともに、少なくとも2本の論文を国際誌に投稿することを目指す。
|
-
[Journal Article] Numerical Simulations Using Various Models for Tsunamis Due to a Fluid or Rigid Bodies Falling Down a Uniform Slope2021
Author(s)
Kakinuma T, Yanagihara M, Iribe T, Nagai K, Hara C, Hamada N, Nakagaki T, Sujatmiko K A, Magdalena I, Nagai K, Kannonji R, Chen S, Shirai T, Arikawa T,
-
Journal Title
Journal of Disaster Research
Volume: 16
Pages: 994~1004
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-