2020 Fiscal Year Annual Research Report
Why do many inland earthquakes occur in the San-in shear zone where a few active faults exist.
Project/Area Number |
19H02000
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 卓也 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90370808)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 地殻変動 / ひずみ集中帯 / GNSS / 山陰地方 / 内陸地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
山陰地方におけるGNSS地殻変動観測を継続し,日座標値の自動計算とホームページでの公開を継続した. 本研究で設置した島根県西部の観測点に関しては,観測開始から1年以上が経過したため,周辺の定常観測点も含めて変位速度分布を暫定的に推定した.得られた変位速度分布は,広島県北部から島根県西部にかけて微小地震が活発な領域の南限付近と北限付近でひずみ速度が大きくなる傾向が認められた.また,島根県西部沿岸域の変動速度は,鳥取県沿岸部の変位速度に比べて明らかに小さいため,島根県西部における山陰ひずみ集中帯は陸域だけでなく,北側の海域に及んでいるものと考えられる. 測地測量データの解析については,鳥取県中部の倉吉市付近において1965年から1992年に国土地理院により実施された菱形基線測量による距離データから歪速度を計算し,2014年から2020年のGNSSデータから得られる歪速度と比較を行った.1965-1992年の平均的な歪速度は,西北西-東南東方向の短縮とそれに直交する方向の伸張の主軸を持ち,その大きさはいずれも200nanostrain/yr程度であった.一方,GNSSから得られる歪速度は,おおむね北西-南東短縮とその直交方向の伸張であり,1965-1992年と似ているが,その大きさは2016年10月に発生した鳥取県中部地震(M6.6)の前後で大きく変化している.地震前の2014-2016年は約50nanostrain/yrであり,測地測量から得られたひずみ速度よりかなり小さい.このようなひずみ速度の変化は山陰ひずみ集中帯の運動速度が時間変化する可能性を示唆しており,今後のモデル化においてそのメカニズムを明らかにしていく予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GNSS観測はおおむね予定通りの観測が実施されており,測地測量データを用いた解析からは山陰歪集中帯における地殻変動速度が時間変化している可能性が示された.このような時間変化は先行研究では指摘されたことはなく,本研究のオリジナルな成果として研究が順調に進展していることを示すものである.
|
Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究で得られた変位速度はまだ誤差が大きいため,データのさらなる蓄積により変位速度を高精度に推定することによって,詳細なモデル化と解釈を行う.
|