2023 Fiscal Year Annual Research Report
Why do many inland earthquakes occur in the San-in shear zone where a few active faults exist.
Project/Area Number |
19H02000
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 卓也 京都大学, 防災研究所, 教授 (90370808)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地殻変動 / ひずみ集中帯 / GNSS / 山陰地方 / 内陸地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度においては、本研究で設置したGNSS観測点と周辺のGEONET観測点のデータを整理し、変位速度場の計算を行なった。前年度までの解析により明らかになった2011年東北地方太平洋沖地震の余効変動の影響を除去し、山陰地方のひずみ速度場の詳細分布を求めた。その結果、島根県西部大田市付近では、わずかに周辺よりもひずみ速度が大きいことが認められたが、鳥取県のような顕著なひずみ集中帯は認められず、山陰ひずみ集中帯の西側延長部は主に島根半島付近から海域に伸びていて、全体の変形量の一部が陸域にも分布していると考えられる。 次に、山陰地方を中心として南海トラフ域から朝鮮半島に至る地域において、26年間のGNSSデータを解析を行なった。山陰・九州地方から朝鮮半島での西南日本沈み込み帯の背弧域で、この期間の速度変化を調べたところ、速度変化は大きくても2mm/年程度であり、有意な変化は認められなかった。一方で、マントルにおける粘弾性緩和を考慮して南海トラフにおける地震サイクル中の地殻変動の時間変化を理論的に計算した先行研究によると、背弧域では固着による海溝から遠ざかる向きの変動速度が地震間に増加し,その範囲も大きく広がっていくはずである。観測データからそのような傾向は明瞭には認められないことから、単純な成層構造の粘弾性構造を用いてマントルの粘性率を推定した結果、粘性率は2×10^19 Pa s以上で比較的粘性率が高いと考えられることがわかった。粘性率がこの程度の大きさであるとすると、地震サイクル後半においては、粘弾性緩和の影響による地殻変動の時間変化は微小であり、プレート間固着による変形を完全弾性体を用いて計算しても、粘弾性体を用いて計算した場合と大差なく、実用的には良い近似となることがわかった。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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