2020 Fiscal Year Annual Research Report
新しく開発した超高圧変形装置を用いたD''層のレオロジーに関する実験的研究
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19H02003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
東 真太郎 東京工業大学, 理学院, 助教 (60771293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 龍一 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (40734570)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 下部マントル / 変形実験 / 結晶方位選択配向 / レオロジー / 回転式ダイヤモンドアンビルセル |
Outline of Annual Research Achievements |
開発した回転式ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いて下部マントル物質の変形実験をSPring-8(BL47XU)で行い、力学データ(応力ー歪曲線)と結晶方位選択配向を解析することを試みた。力学データについては安定して取得することができるようになり、結晶方位選択配向についても解析が可能となりつつある。まず下部マントル物質であるブリッジマナイトとフェロペリクレースの2相混合の焼結体について変形による結晶方位選択配向の発達を解析すると、フェロペリクレースの選択配向が変形とともに発達していることがわかった。一方で、強度の高いブリッジマナイトは変形前の昇圧によって若干選択配向が発達するが、変形実験を開始し、変形が進行するにつれて選択配向が緩和される傾向が観察された。変形によって発達するフェロペリクレースの選択配向から、支配的なスリップシステムは{100}[110]であり、これまでの先行研究(例えばYamazaki and Karato 2002)とも調和的である。 加えて、変形後の試料のフェロペリクレースについては、TEMによる粒子の結晶方位の観察を新たに行った。このTEM観察は実験試料をFIBによって加圧軸に対して平行にカットし、断面の変形微細組織に対して行った。見かけ上一つの結晶粒子に見えるフェロペリクレースだが、TEMによる観察によって粒子内で結晶方位が明らかに違うことが確認された。これは大変形によって個々のフェロペリクレース粒子が引き伸ばされ、粒子同士が連結した証拠と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主な原因は2020年度の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により、予定していたSPring-8での上半期の実験を延期せざるおえず、年間の予定していた実験数が半分削減になってしまったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、これまでと同じくポストペロブスカイトとフェロペリクレースの2相混合焼結体を用いた変形実験を行うことで、力学データと結晶方位選択配向のデータを取得することを目指す。 そして、より精度の高い力学データと結晶方位選択配向データを得るためには、より良いX線回折データを得ることで、実験試料のクリアな回折ピークを得る必要がある。これまで実験ではガスケットとしてレニウムを使用していたが、実験試料とのピーク被りを避けるためにタングステンを使用することを試みる。
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