2020 Fiscal Year Annual Research Report
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19H02014
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大路 樹生 名古屋大学, 博物館, 教授 (50160487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井龍 康文 東北大学, 理学研究科, 教授 (00250671)
高柳 栄子 東北大学, 理学研究科, 准教授 (40729208)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カンブリア爆発 / 大量絶滅後の回復現象 / 海洋底生動物 / サイズ変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
カンブリア系の動物化石群として有名なカナダのバージェス頁岩の動物化石群を蒲郡市生命の海科学館から借用し、それらを2枚の偏光板で挟む手法を用いて光学観察することで軟体部を含む明瞭な形態情報を得ることができた。この手法で多数の標本が産出するMarrella splendensの表面を観察したところ、その腹部から尾部にかけて黒色の染みの存在がほぼすべての個体に見ることができた。この染みの面積は化石体の大きさに正の相関を持つことから、化石化過程の初期に体の内部から染み出した体液に起因するものであることが推察された。 カンブリア紀の動物多様化に比較される現象である、古生代末の大量絶滅後の海洋動物の回復現象に関する研究を、宮崎県高千穂地域の上村石灰岩をフィールドに行い、特にそこに含まれている二枚貝類のサイズ変化を追跡することで海洋底生動物と環境変遷との対応を調べた。その結果、ペルム紀・三畳紀境界以降サイズ増加が見られるものの、Smithian階以降順調に大型化するわけではなく、底生動物にとってストレスのかかった環境が継続していたことが示唆される。 またカンブリア紀に引き続いて多様化の現象が起きたオルドビス紀初期の化石群として、モロッコ産の節足動物化石の研究を開始し、これがカンブリア紀の生き残りで大型化した、二枚の殻を持つ節足動物化石である可能性を指摘することが出来た。この研究を進めるためには、今後モロッコ産の同様の化石標本を海外で観察し、比較する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モンゴルのフィールドワークに基づくカンブリア紀の海洋動物の進化に関する研究は、新型コロナ感染拡大によって中止せざるを得ない状況となったが、それに代わりカンブリア系の重要な化石群であるバージェス頁岩の古生物の研究、そしてカンブリア爆発に比較される多様化現象である古生代末の大量絶滅後の海洋動物の回復現象の研究に取り組み、興味深い結果を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ禍の影響が弱まった段階で本来のテーマに関わるモンゴルでのフィールドワークを再開し、カンブリア紀の動物の爆発的進化に関する研究を進めたい。
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[Journal Article] Experimental neoichnology of post-autotomy arm movements of sea lilies and possible evidence of thrashing behaviour in Triassic holocrinids.2020
Author(s)
Gorzelak, P., Salamon, M.A., Brom, K., Oji, T., Oguri, K., Kolvuk, D., Dec, M., Brachaniec, T., Saucede, T.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 10
Pages: 1-8
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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