2020 Fiscal Year Annual Research Report
三次元プリンタ製チタン合金の先進的急速高温加熱処理に基づく高性能化
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19H02027
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
森田 辰郎 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 教授 (90239658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武末 翔吾 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 助教 (00846058)
小茂鳥 潤 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (30225586)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 三次元プリンター / SLM / チタン合金 / 高周波誘導加熱 / 高速酸窒化 / 耐摩耗性 / 疲労強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,新たに考案した先進的急速高温加熱処理により,三次元プリンタ製チタン合金の耐摩耗性,疲労強度および延性を同時に改善することを目的としている.この熱処理では,材料表面を大出力高周波誘導加熱装置を用いて高温まで急速加熱することにより,大気構成元素を高速拡散させて表面硬化させ,短時間に耐摩耗性を改善する.併せて,適切な温度分布を与えた後に冷却して高い圧縮残留応力の付与と応力誘起変態の発現により表面近傍の造形欠陥を無害化することにより,疲労強度の顕著な改善を実現する.同時に,材料内部の微視組織を選択的に制御し,延性の向上を達成する. 研究2年目である2020年度には,前年度に得られた基礎データに基づいて考察を深め,SLM法で作製したTi-6Al-4V合金(以後,SLM材)について適切な熱処理条件を見出した.しかしながら,当初の予想通り熱処理後の急冷に伴い表面に微細なき裂が形成されたため,計画に従って試料表面へ熱処理後に微粒子衝突(FPB)処理を施した.以上の熱処理+FPB処理材と,各種比較材について機械的性質および疲労強度に及ぼす効果を調べた.その際,表面を鏡面に仕上た材料と造形まま材を対象材料として上記処理の効果を比較し,表面性状の相違がもたらす影響について併せて把握した.当該期間中には,関係論文が2件掲載され,さらに2件の投稿準備を進めている.また,特許申請についても準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究2年目である2020年度には,初年度の実験結果に基づいて良好と判断された熱処理条件に関し,耐摩耗性,機械的性質および疲労強度に及ぼす効果を調べる計画であった.また,冷却時にき裂が発生した場合には,関係企業の協力により試料表面へFPB処理を施す予定であった.当年度には計画通り,前年度に得られた基礎データに基づいて考察を深め,SLM材に対する適切な熱処理条件を見出した.熱処理後の水冷に伴い表面に微細なき裂が発生したため,熱処理後には試料表面へFPB処理を施した.予定していた耐摩耗性に係る検討は試験片形状の検討が必要となったため,当該年度機関に実施できなかった.その一方で計画通り,上記の処理を施した材料について,各種比較材と共に機械的性質および疲労強度を詳細に調べた.さらに,表面を鏡面に仕上た材料と造形ままの材料について上記処理の効果を比較し,表面性状の影響について把握した.当年度に得られた結果については国内学協会等で発表予定であったが,COVID-19の影響があり,また対応も不慣れであったため,講演発表については2021年度以降に繰り越すこととした.関連論文は2件掲載され,さらに2件の論文投稿および1件の特許申請に向けて準備を進めている.以上のように,当該研究はほぼ当初計画通りに進んでいることから,現在までの進捗状況として「おむね順調に進展している」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(2021年度)には,前年度に実施できなかった耐摩耗性に係る実験を進め,これと並行して冷却速度と微視組織との関係についても検討を行う予定である.これと並行して,現在までに得られた研究結果に係る整理および考察を進めるとともに必要な追実験を実施し,三次元プリンター製チタン合金の性能を改善する上で優れた効果を有する方法を確立する.以上により得られた成果は,COVID-19の影響を避けつつ,講演発表,学術論文の掲載および特許申請を通じて積極的に公開し,新たな基盤技術として社会へ還元する.また,その後の応用可能性を探るため,関係企業と検討を進める.なお,共同研究者2名は,引き続き高温で発現する軽元素の高速拡散現象に係る検討を実施する.
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Remarks |
先端材料学研究室ホームページ http://www.cis.kit.ac.jp/~morita/jp/index.html
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Research Products
(2 results)