2019 Fiscal Year Annual Research Report
ガラス中の金属球へのレーザ照射により誘起される物質移動現象と光学デバイスへの応用
Project/Area Number |
19H02035
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
比田井 洋史 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (60313334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 昇 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (30239660)
松坂 壮太 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (30334171)
岸 哲生 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (90453828)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レーザ / マニピュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは,ガラスの片面に金属箔を密着させ,反対側からガラスを通して連続発振レーザを照射した際,金属箔が溶融し直径100μm 程度の球となって,ガラス内部に入る現象を見いだした.さらにレーザ照射を続けることで金属球がガラス内部を光源方向に移動する.ガラス内部での金属球の移動に伴って,移動軌跡には金属成分のドープ,金属ナノ粒子の析出,ガラス成分の偏在が起きる. 本年度は以下を実施した. 金属球移動現象の解明:レーザ光のパワー密度を高めるのに従って移動速度が徐々に速くなる.パワー密度をある閾値以上に大きくすると,金属球が激しく発光し周辺のガラスがプラズマ化すると同時に,移動速度が非連続的に速くなり,駆動力が説明できていなかった.この課題に対して,発光分光などを行い,メカニズムの解明を行った.その結果,プラズマの生成を確認し,このプラズマの生成によりガラスの粘度の飛躍的な現象,ガラスと金属との界面の消失などが起き,移動速度が飛躍的に向上したと考察した. 金属球の移動軌跡への金属球成分の拡散:金属球が移動した軌跡については,ガラスの急熱急冷より構造が変化したり,金属球の成分が拡散したりする.この軌跡について,評価した.様々な金属とガラスの組み合わせで,レーザ照射条件を変化させ,その拡散量や拡散範囲,金属,ガラスの種類による違いなどを評価した. 金属球の分離:レーザ光を2方向から照射することで,金属球の分離を試みた.その結果,金属球の分離を実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度,計画した移動現象の解明については,予定以上の成果が得られた.また,金属成分の拡散などについても,順調に進行している.一方,移動中の球の形状などについては,十分に評価ができておらず遅れている.これらを勘案し,全体としてはおおむね予定通りの実験の遂行ができていると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
変更なく,当初の予定通り進める計画である. 移動中の球の形状の解明:移動中の金属球が変形する場合がある.この形状変化は界面張力の不均一や周囲のガラスの抵抗に起因すると考えられる.この界面張力の不均一は駆動力の主な原因であり,移動現象の解明に役立つと期待できる.昨年度は,この変形を大きくすることで,最終的に球の分離が実現できたことから,この変形の解明についての目途が立っている.高速度カメラなどをつかって評価する. 金属球の導入プロセス:本年度解明した移動メカニズムを基に金属箔からガラス内部への導入プロセスを解明する. ドープ現象の解明:本年度に引き続き様々な金属,ガラスの組み合わせて金属球を導入し,成分の変化を評価する.
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