2020 Fiscal Year Annual Research Report
切削加工におけるびびり振動の常識を覆す切削工具の逃げ面テクスチャ設計
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19H02041
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 教和 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00359754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
社本 英二 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20216146)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 切削加工 / びびり振動 / 切削工具 |
Outline of Annual Research Achievements |
提案手法を実現するには,切削工具の逃げ面テクスチャにより,効果的にプロセスダンピングを発現する新技術を開発する必要がある.そこで,2020年度は以下の研究を実施した. 1.高切削速度領域でプロセスダンピングを発現するテクスチャ形状や配置の最適設計 2019年度までに開発した有限要素法解析技術により,任意のテクスチャ形状を与えてプロセスダンピングのシミュレーションを実施することが可能となった.また,得られる振動と力の関係から,プロセスダンピング係数を算出し,安定性を推定する手法を開発した.これらの技術を利用し,テクスチャの形状とその配置がプロセスダンピング係数に与える影響を探索的に分析した.横ライン型テクスチャにおいて,切れ刃稜線からテクスチャのまでの距離,仕上げ面からテクスチャまでの高さ,テクスチャの長さなどが振動波長に与える影響について分析を実施した結果,高切削速度領域においてプロセスダンピングを効率的に発現するには,テクスチャ距離が重要であることを明らかにした.加えて,縦ライン型テクスチャやドット型テクスチャはロバスト性を向上し得る可能性が有ることを確認した. 2.基礎的な旋削プロセスを対象としてその効果の実験検証 有限要素法解析による検討の結果を参考に,所望のテクスチャパターンを持つ工具を試作し,基礎的な旋削加工実験によりその効果を確認した.その結果,プロセスダンピングによる安定性向上効果の観点から,適切にテクスチャ距離を設計した工具においては,びびり安定性を向上するとともに,逃げ面凝着や欠損の発生を抑制し得ることを確認した.一方で,テクスチャの欠損が生じる形状があることを明らかにした.さらに,モデルベースシミュレーションとの比較の結果,低振幅領域の推定精度が低く,モデルの修正が必要であることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた通り,有限要素法解析を活用しててテクスチャ形状の検討を実施し,実験的にその効果を確認した.その結果,効果的にプロセスダンピングを発現して安定性を向上する形状が存在することを明らかにした.さらに,テクスチャの欠損が生じやすい形状がある課題を明らかにするとともに,モデルベースシミュレーションの課題についても検討を行った.今後は明らかとなった課題の解決に取り組むことで,さらに効果的にプロセスダンピングを発現する究極のびびり抑制技術の開発に取り組む.予定通り研究を進展することで,今後の発展が期待できると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,2020年度までに得られた成果を踏まえ,提案手法の実現を目指して,主に以下の検討を実施する.これにより提案手法の開発を一歩ずつ進め,評価結果に基づき適宜修正を行いながら,提案する究極のびびり振動抑制技術の確立に挑戦する. 1.凝着性と耐欠損性の観点から正常切削時の性能を阻害しないテクスチャ形状の探索 2.回転系工具を用いた加工における応用技術の開発 3.提案手法の総合評価
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Research Products
(11 results)