2019 Fiscal Year Annual Research Report
Complete wireless micromanipulator using opto-thermomagnetical servoactuator
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19H02052
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 海二 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00215766)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 感温磁性体 / 磁力 / ワイヤレス / マニピュレータ / アクチュエータ / 光熱磁気駆動 / サーボ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題のアクチュエータは熱磁気駆動型で,加熱はレーザにより能動的に行うのに対し,冷却は現在のところ自然冷却である.応答性の向上には,効果的な冷却が有効と考えるが,必要な冷却機能は明らかではなかった.そこで熱の影響を考慮するための基礎情報を得るために,次の課題に取り組んだ. 過熱を抑制する駆動方法とその効果:実験装置を改良し,ビジュアルサーボ系のサンプリング周期を0.2秒まで短縮可能として,照射時間と非照射時間(冷却時間)を調整し,その効果を調べた.その結果,その時間の比率が駆動特性に与える影響は大きく,適宜調整することが望ましいことが示唆された.さらに熱の照射時間を詳細に調整できる方法を検討中である. 温度分布が駆動特性に与える影響:本アクチュエータは,温度差に起因する磁気特性の差を利用して駆動力を発生する.全体の温度が上昇すると,温度差によって生じる駆動力が低下し,精密運動の障害となる現象が観測された.したがって制御系を構成する場合,この特性を考慮する必要があると考えられる.今後は温度情報を利用する方法の検討を進める予定である. 微小球の分布の影響:並進機能部の感温磁性体板と可動子の間には,摩擦力低減のために微小球が散布している.簡単さを重視して単に散布しているため,分布が偏ることがしばしばおこる.その影響を実験的に調べた.その結果,分布量が駆動性能に影響を与える傾向が見られた.ただし分布量を数値で評価するまでには至っておらず,明確化することは今後の検討課題である.微小球は摩擦力低減には効果が大きいが,温度計測や利便性の向上の障害になる面もあり,多角的な視点で改良を検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画に沿って,一通りの取り組みは行っているが,実験による基礎データの収集や材料調査,各部の改良に想定以上の労力と時間を要している.本研究は,磁気特性や熱特性,流体特性など様々な物性が絡み,組立・調整作業にこれまでに例のない取り組みをし,支援用のサーボ系も従来にない機能を実現する必要がある.そのため,細かな点まで研究者が行う必要があり,予想以上の困難さが生じている.個別の装置を取り上げると,複雑なわけではないが,同等の機能を持つ製品や部品が存在せず,現状では試作や特注を必要とし,簡単に入手できない.これらのことが進捗の大きな妨げになっている.
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Strategy for Future Research Activity |
方針に関しては,変更を迫られるような研究上の新たな問題は生じていないが,設計試作が必要な事項が予想よりも多いため,設計試作の要件を緩め,原理検証を進められるように,工夫することを検討する.また本研究で扱う装置は,これまでにない機能を実現するために,支援用のレーザ照射サーボ機構の設計試作から,試作に必要な組立用の治具の試作まで行ってきた.今後は外部の協力を得る方法を検討して,その労力の低減を図りたいと考えている.
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