2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H02055
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
辻 知宏 高知工科大学, システム工学群, 教授 (60309721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蝶野 成臣 高知工科大学, システム工学群, 教授 (20155328)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 機械要素 / 液晶 / レオロジー / スメクティック液晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,固体に近い液晶(コレステリック液晶およびスメクティック液晶)の流動挙動と流動中の分子挙動の相関を解明し,アクチュエータやセンサといった新たな機械要素への応用を提案する. この課題遂行のための一連の研究の内,2019年度の計画は,コレステリック液晶流およびスメクティック液晶の流動挙動および分子場挙動の解明である.この目的に対して,実験および数値計算の両面からアプローチした.まず,実験についてであるが,本研究室既存のレオメータに改良を加え,平行円盤間せん断流れ場におけるせん断応力および法線応力計測と液晶分子配向場の偏光顕微鏡観察を同時に行った.その結果より,流動と液晶特有の分子配向場の欠陥構造の発生の発生を明らかにするとともに,欠陥構造のコントロールに関する知見を得た.具体的には,欠陥構造の発生には,せん断速流れによる流動配向,円板間表面における配向処理による強アンカリング配向,自由表面における弱アンカリング配向,外場(電場あるいは磁場)による配向が強く影響しており,これらの組み合わせにより欠陥構造密度をコントロールできる可能性を見出した.一方,流動中の液晶分子の挙動を詳細に調べるために,棒状分子間のポテンシャルを記述するGay-Berneポテンシャルモデルを用いた分子動力学シミュレーションを行った.平衡状態でスメクティック液晶特有の分子配列の層構造を実現し,せん断速度をパラメータとして解析を行った.その結果より,低せん断速度領域では層構造が流れ方向に垂直になるのに対して,高せん断速度領域では層構造が流れ方向に水平となることを明らかにした. これらの実験およびシミュレーション結果より,分子配向場のコントロールを行うための重要な因子を明らかになった.この結果を用いて,次年度以降のデバイスの提案および開発につなげる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題では,異方性分子が自発的高次構造をとるようなコレステリック液晶やスメクティック液晶を利用した新しいデバイスの提案を目的としている.一方,2019年度の研究において,自発的高次構造を持たないネマティック液晶であっても,外場(特に,流動)によって規則的高次構造を発現可能であることを見出した.このことにより,本研究課題の新たな拡がりが期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に,本年度の研究計画に沿って研究を行う予定である.ただし,昨今のコロナウイルス事情によっては,実験よりもコンピュータシミュレーションに重点をおいて研究を行ことも検討する.
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Research Products
(4 results)