2020 Fiscal Year Annual Research Report
Physiological function generated by biological flow
Project/Area Number |
19H02059
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊地 謙次 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00553801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 拓司 東北大学, 医工学研究科, 教授 (20313728)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生体流動計測 / 腸蠕動 / PTV/PIV / 皮膚脆弱化 / 数理モデル / 物質輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、顕微鏡を用いた生体計測手法を構築し、生体内流動および微小生物運動に関する研究課題を推進した。主要な研究実績は以下の通りである。1.ゼブラフィッシュ稚魚の腸内における流動構造を可視化し、腸蠕動による流動と撹拌機能について定量的に評価を行った。(Kikuchi, et al., AJP - Gastrointest. Liver Physiol., 2020)2.線虫C.elegansの口腔内における大腸菌捕捉を可視化し、高粘性環境における生存メカニズムについて力学的解明を行った。(Suzuki, et al., J. Exp. Biol., 2020)3.豚皮膚を用いて皮膚上への繰り返し摩擦による皮膚の脆弱化について力学モデルを用いて解明を行った。(Kikuchi, et al., Int. J. Pharm., 2020)4.上面発酵酵母菌の発酵時における炭酸ガス発泡による酵母菌浮上の可視化に成功し、発泡による培養容器内の流動促進による拡散効果と細胞分裂の促進効果について実験及び数理モデルに基づくシミュレーションによる解明を行った。(Atul, et al, Roy. Soc. Interface, 2020)細胞スケールによるエネルギー代謝による酵母発酵由来の発泡が自身の細胞増殖へとフィードバックされていることを見出し、流動構造と細胞増殖との生体流動の生物学的貢献について実験的および数理的に解明を行った。生体運動や生体活動が由来となる流動に関して、それぞれの環境に特化した生体流動イメージングを実現し、物質輸送や細胞増殖が生体由来の流動と密接に関与することが本研究により明らかとなった。輸送現象の直接計測により物質輸送の数理モデルを構築・検討することで、生体に関する物質輸送論の発展に資する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各生物種における生体流動の可視化計測について、技術的な問題点を一つずつ丁寧に解決し、様々な時空間スケールの流動計測法を構築し、流動構造の定量評価を行ってきた。皮膚内部への微粒子浸透に関しては、昨今のマスク着用による皮膚の脆弱化を皮膚の力学特性を考慮した数理モデルを構築することで、皮膚からのウイルス感染の危険性についても工学的アプローチにより解明に至った。また、細胞スケールによるエネルギー代謝による酵母発酵由来の発泡が自身の細胞増殖へとフィードバックされていることを見出し、流動構造と細胞増殖との生体流動の生物学的貢献について実験的および数理的に解明をおこなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞スケールから組織スケールまでの生体流動に関する可視化計測法の開発を進めてきており、また流動と生体への生物学的フィードバックの数理モデルの構築を行ってきた。生命由来の流動が、他個体や自己体への生理的作用について、生物種ごとの関係性について調査を進めてきており、今後生体と分子スケールの干渉について実験的および解析的理解のため、より緻密な数理モデルの構築を推進する。
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Research Products
(11 results)