2021 Fiscal Year Annual Research Report
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19H02062
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
西田 浩之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60545945)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プラズマアクチュエータ / 流体制御 / 大気圧放電 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラズマアクチュエータが生成する体積力場とジュール発熱場の双方を解明することを目的に,数値シミュレーションと実験の双方のアプローチから研究を行った. 実験研究においては,2020年度において密度場の定量的計測技術であるBOS法について,壁面近傍も含め正確に計測する技術の習得に成功している.そこで2021年度は,PIV法による流速場計測とBOS法による密度場計測の双方によりプラズマアクチュエータが形成する流体場について詳細に解析を行った.プラズマアクチュエータの放電1周期内における流速場と密度場の時間変動を計測した結果,流速場はAC電圧の変化に合わせて変動するが,密度場は大きく変動しないことが明らかとなった.また,流速が最大値をとる位置に比べ密度が最小値をとる位置は下流になることが明らかとなり,これは電極近傍の放電場により加熱された空気が遺留しながら膨張するためと考えられる.プラズマの数値シミュレーションから得た体積力場とジュール加熱場と比較し,実験結果と矛盾がないことを確認した.また,電極形状が速度場と密度場に与える影響についても調査し,ワイヤー電極を用いた際に流れ場一時的に誘電体表面から剥がれる特徴的な現象を確認した. プラズマアクチュエータが流れに与える熱的影響について,誘電体表面との熱伝達を含めた理解は重要である.そこで,誘電体の表面温度の時間変化を,誘電体材料と印加電圧をパラメトリックに変化させて計測した.そして,表面温度の時間変化を熱伝達と誘電体内部熱伝導の考察から統一的に整理できるパラメータを見出すことに成功した.また,プラズマアクチュエータが形成する流れの熱伝達率を推定するため,誘電体内の熱伝導シミュレーション結果をもとに温度変化を解析解にフィッティングした.物理的に妥当と思われる結果を得ることに成功したが,定量的な正確性は今後確認の必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラズマアクチュエータが流体に及ぼす作用として,体積力場のみならずジュール加熱場にも着目した研究を行っており,実験的アプローチとシミュレーションからのアプローチの双方において順調な進展が得られていると考えている.これは,2020年度までに計測手法と数値シミュレーションコードの開発に成功できた故である.一方で,プラズマアクチュエータが作用した結果としての流体場については理解が大きく進んだものの,体積力場とジュール加熱場そのものを定量的に明らかにすることには成功しておらず,どのようにアプローチするかも含め,今後の課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
プラズマアクチュエータが流体に及ぼす作用として,体積力場とジュール加熱場の双方を解明することが重要であるが,これらを実験的に直接計測することは難しく,シミュレーションはには未だ定量的な信頼性に難がある.そこで,実験とシミュレーションを連携したデータ同化の手法を用いることで解明することを計画する.実験的に得た流体場(流速場と密度場)をシミュレーション結果と比較し,その差が小さくなるようにシミュレーションの体積力場とジュール加熱場を修正する.データ同化の専門家と共同研究を行う準備を進めており,2022年度には実装したうえで実際に実験とシミュレーションを実施する予定である.データ同化により解明した体積力場と加熱場をもとに,それらを表現する簡易的な数式モデルを作成する.
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