2020 Fiscal Year Annual Research Report
オプト・ケモロボットを用いたマルチスケール細胞解析システム
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19H02096
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丸山 央峰 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (60377843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノメカトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルス感染細胞内温度計測細胞内温度計測用のカプセル型オプト・ケモロボットとして,従来の蛍光を用いた計測で環境の絶対値の算出に必要であった既知の環境におけるセンサの蛍光強度との比較を必要としない計測を実現するためのセンサを開発した.今年度はpHを計測対象としてオプト・ケモロボットを作製した.このオプト・ケモロボットは,周辺の環境の影響を受けないようにするため,既知のpHを内部に導入したハイドロゲルビーズ製のオプト・ケモロボットの表面を水素イオンが透過しないシリコーン材料の被膜を作製することで,周囲の環境の影響を受けないリファレンスとなるオプト・ケモロボットの作製に成功した.また,ロボットのサイズのばらつきの影響を補正するため,ロボットの直径でオプト・ケモロボットの蛍光強度を正規化することで,オプト・ケモロボットのサイズのばらつきが計測に与える影響を低減することに成功した. 蛍光色素としてpH感受性を有するFITCを用いて作製したリファレンス用のオプト・ケモロボットと計測用のオプト・ケモロボットにおける蛍光強度の絶対値を用いたpH計測において,pH6-7.6の範囲でのオプト・ケモロボットのpH計測精度を補正前の±0.52から±0.19へ向上することに成功した.このリファレンス機能を有するオプト・ケモロボットはカプセル型のみではなく,チップ型のオプト・ケモロボットとしても利用可能であり,細胞内の計測と,細胞表面での計測の両方に適用して今後の計測を行っていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
センサを有するオプト・ケモロボットの細胞内導入については,近赤外レーザを用いた局所加熱による導入法を実現しており,計測用のオプト・ケモロボットについても蛍光色素の退色の影響を補正したハイドロゲルセンサと,リファレンス機能を有するオプト・ケモロボット,ロボットサイズのばらつきを補正したpHの算出方法と,ウイルス感染細胞内計測に必要な要素技術がほぼ実現することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,これまでに実現してきたカプセル型およびチップ型のオプト・ケモロボットを用いて,インフルエンザウイルスに感染した細胞内のpH・温度計測および,細胞内で増殖して細胞外に放出されたウイルスの周辺細胞への再感染による培養細胞のpH・温度計測を行う.単一細胞内の計測にはカプセル型を,集団細胞はチップ型のオプト・ケモロボットを用いて単一細胞計測と集団細胞計測を同時に行えるシステムを実現する.
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Research Products
(5 results)