2020 Fiscal Year Annual Research Report
Constraint satisfactory integrated control for multi-legged robots
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19H02108
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
稲垣 伸吉 南山大学, 理工学部, 教授 (80362276)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 知能ロボティクス / 知能機械 / 移動ロボット / 多脚移動 / 分散制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、災害地のような未知で複雑な不整地環境を、柔軟にかつ頑健に移動することができる多脚移動ロボット(6脚以上の脚を持つ移動ロボット)の実現を目指し、必要となる種々の制御技術を開発し、多脚移動ロボットへの実装と実証実験を通して、その有用性を示すことである。2020年度の研究において、以下の研究成果を得た。 (1) 6 脚移動ロボットの不整地歩行において、つまずきや踏み外し、脚同士の干渉等の局所的な状況に、各脚が局所情報に基づいて対処する必要がある.そこで、各状況に対応する複数の局所制御を統合して歩容制御である接地点追従法に追加する方法、および、接触センサと接地センサを内蔵した脚を開発し、実機実験によりそれらの有効性を示した。 (2) 多脚移動ロボットは、1、2本の脚が故障しても歩行を継続できること、また、脚を歩行以外の用途へ転用できることが期待できる。そこで、歩行に用いる脚数が突然変更された場合でも、継続して歩行できるよう、脚の隣接関係を柔軟に変更できるような改良を、接地点追従法に施した。6脚移動ロボットを用いた実機実験において、歩行時の脚数が減少/増加しても、安定して歩行を継続することができることが明らかになった。 (3) 6 脚移動機構は不整地での移動が可能であるが、その多自由度ゆえに操作方法が明らかになっていない。そこで、ヘッドマウントディスプレイにより、操作者が立体的な映像を見てロボットを操作可能な、没入型の操作系を開発した。操作者は操作スティックを用いてロボットの最前脚の接地点のみを入力し、ロボットは接地点追従法により後脚をその接地点を継承させて歩行する。実機実験を行い提案した操作系の有用性を明らかにした。また、脚の冗長自由度化を目指した制御手法の検討も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度において計画していた実施項目は、1.射制御と接地力制御からなる局所適応制御の開発、2.故障検出と故障診断、および故障を補償する耐故障制御の開発、3.形式検証を活用した無限定環境における仕様の検証法の開発、4.ヒューマンインザループにおける操作インターフェースの開発と自律歩行のための評価関数の導出、5. 6脚、8脚、ムカデ型の多脚移動ロボットの開発と実証実験の5つである。 まず、項目1は研究実施の概要(1)に当たる。脚のつまずきや踏み外し、脚同士の干渉に対応するための反射制御や接地の制御といった各脚の環境の変化に対応する局所適応制御を開発し、さらに関節角度空間においてそれらを統合する手法を開発した。また、各局所制御を実現するセンサ類も開発した。項目1は計画以上に進展しているといえる。 次に、項目2と3は研究実施の概要(2)に当たる。脚に故障が生じても歩行を維持できる耐故障制御を、脚の隣接関係を変化させることで実現した。一方で、故障検出と故障診断については、実験データがまだ十分に得られていないことに加え、ハードウェア的に対処できる可能性があることから、実施しなかった。また、項目3における形式検証を用いる代わりに、仕様を自動的に満たすような接地点追従法の改良手法を開発した。項目2と3については一部を変更しながらも、順調に進展しているといえる。 項目4については、研究実施の概要(3)に当たる。拡張現実を利用した人の操作インターフェースを開発しロボットに搭載した一方で、まだ実験データが十分に得られておらず、自律的に歩行計画する際に必要な評価関数の導出までには至っていない。項目4は一部が遅れている状況である。 項目5については、6脚ロボットの開発を上記項目1~4に合わせて行った。しかし、各項目の実証を優先させるために、8脚とムカデ型については開発しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、1.さらなる移動性能の向上を目指した局所適応制御の統合と実装、2.耐故障と歩行性能の向上を同時に実現する歩行制御の開発、3.多脚移動ロボットの没入型操作系の開発、4.接地点計画を用いた半自律型操作系の開発、5.以上の項目を検証するための 6脚の多脚移動ロボットの開発と実証実験、の5つの項目を実施する。 項目1については、さらに移動性能を向上させるために、前年度に開発した局所制御の改良と共に、それらを統合する際のパラメータの導出方法を検証する。また、6脚ロボットにおける実験を進め、脚先センサも改良する。項目2については、脚の隣接関係の更新手法を拡張し、耐故障だけでなく、これまでに前進に限定されていた移動性能を向上させる。項目1と2は総じて、実用に向けたロボットの移動性能を向上させるための研究である。 項目3については、多脚移動ロボットの歩行性能を最大限に発揮できるような、操作系の実現を目指した研究であり、前年度に開発した没入型操作系に対し、オペレータに脚の触覚も提示できるように改良する。一方で、項目4はオペレータの操作を簡単化するための操作系の開発であり、オペレータのおおまかな指示に対してロボット自身が接地点を計画することで補完する手法を開発する。項目3と4はいまだ明らかでない多脚移動ロボットに適した操作方法を追求するものである。 項目5は上記の項目を検証するための実機開発であるが、前年度まで計画していた8脚、ムカデ型の開発は行わない。これは各項目を実証する上では6脚で十分だからである。まずは6脚移動ロボットにおいて十分な移動性能と操作系を開発し、そのうえでより多くの脚での形態の開発に進みたい。
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