2020 Fiscal Year Annual Research Report
Functionality elucidation of rice husk-derived C/SiOx composite as the anode active material of Li-ion energy storage devices
Project/Area Number |
19H02121
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
熊谷 誠治 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (00363739)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田島 大輔 福岡工業大学, 工学部, 准教授 (10531452)
カビール ムハムドゥル 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (10422164)
富岡 雅弘 秋田大学, 理工学研究科, 助教 (00838683)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 蓄電デバイス / もみ殻 / 電極活物質 / リチウムイオン電池 / リチウムイオンキャパシタ |
Outline of Annual Research Achievements |
既存C系およびSi系活物質では得られない優れたLiイオン吸蔵放出特性を有する非晶質C/SiOx活物質を,もみ殻を原料に創製することが本研究の目的の一つである。本年度は,もみ殻由来非晶質C/SiOx活物質のLiイオンの吸蔵放出特性の把握およびその基礎過程の解明を目指した。 活物質中のSiOx含有率や細孔容積などの材料物性の異なるもみ殻由来非晶質C/SiOx活物質を準備し,対極をLi金属とするハーフセルを組み立て,C/SiOx活物質のLiイオン吸蔵放出特性を評価した。活物質中のSiOx含有量を半分程度に減少させ,1000℃で熱処理したものがLiイオン吸蔵放出の比容量,時間応答性,さらには吸蔵放出の繰り返しに対する安定性に優れていることが分かった。 X線光電子分光分析により,Liイオン吸蔵および放出時の活物質中のLi,C,O,Siの結合状態を調査した。さらに,Arイオンスパッタを用いた深さ方向分析も行った。C/SiOx中のC成分は無定形炭素と同じLiイオン吸蔵放出特性を示した。一方,SiOx成分はLiイオンを吸蔵することで,非常に高いLiイオン吸蔵放出容量を有するSiに還元されることはなく,ケイ酸リチウムLixSiOyに変換され,一部はLiイオンの吸蔵放出が可能であるが,一部は不活性な状態になることが示された。初回のLiイオン吸蔵にともない約60 nmの固体界面電解質層を活物質の表面に形成させることも分かった。SiOxを事前に半分程度除去しておくと,初回のLiイオン吸蔵でLixSiOyが形成されても,除去された空隙のため電極の膨張が緩和され,電極の構造安定性が保たれることが分かった。 以上のことから,C/SiOx活物質においては,初回Liイオンの吸蔵時におけるSiOx成分の還元反応が,そのLiイオン吸蔵放出特性に大きな影響を与えることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年の期間を有する本研究は,各年度において1から3の研究項目を実施する。 1.比較的簡易なプロセスのみで,既存C系およびSi系活物質では得られない優れたLiイオン吸蔵放出特性を有する非晶質C/SiOx活物質を,もみ殻を原料に創製する。また,製造条件と材料物性の相関を明らかにする。 2.もみ殻由来非晶質C/SiOx活物質のLiイオンの吸蔵放出特性の把握およびその基礎過程を解明する。 3.Liイオン電池およびLiイオンキャパシタという実際の蓄電デバイスの負極活物質としての性能と,組成,微細構造や粒径との相関を追跡することで,材料物性の最適化を行い,それら蓄電デバイスの負極活物質としての最高性能を見極める。 本年度は2の研究項目をおおむね実施することができた。さらに,翌年度に予定されている3の研究項目も先行して実施することができた。特に,もみ殻由来非晶質C/SiOx活物質を使用するLiイオン電池およびLiイオンキャパシタの動作特性や電極材料に関する関連研究の成果も得ることができた。それゆえ,(2)おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
Liイオン電池およびLiイオンキャパシタにおいて,有望なもみ殻由来C/SiOx活物質および既存活物質を負極に適用する。Liイオン電池セルでは,車載用途で有望な三元系Li含有金属酸化物などを,Liイオンキャパシタセルにおいては,一般的に使用される活性炭を正極活物質に用いる。負極製造の場合と同様に,活物質,導電助剤と電極バインダの混合物を集電極であるアルミニウム箔に塗工することで製造する。試験セルを使用して,セルとしての容量,レート特性,サイクル特性の評価を行い,既存活物質との性能比較を行う。既存活物質として,グラファイトとハードカーボンを選択する。セルの性能評価結果から,最高性能を実現できる物性を予測する。そして,その物性を示すべき活物質を製造し,再度実証試験を行う。それを繰り返すことで,Liイオン電池およびLiイオンキャパシタの両方のセルにおいて,比容量およびサイクル寿命について既存活物質より優れた性能を目指す。負極活物質として最適な組成,微細構造と粒径を決定し,もみ殻由来C/SiOx混合系の負極活物質としての最高性能を明らかにする。そして,もみ殻を原料とした高性能Liイオン蓄電デバイス負極活物質の実用化につなげていく。
|
Research Products
(13 results)