2021 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of magnetization mechanism in the flake composite magnetic core materials for beyond MHz frequency
Project/Area Number |
19H02127
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
佐藤 敏郎 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (50283239)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高周波電力用軟磁性材料 / 磁化機構 / 磁区構造 / 異方性 / インダクタ/トランス |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) Fe-Si-B-Cu-Nb系合金のFeの一部をPdで置換し、磁界中ナノ結晶化熱処理/磁界中冷却によって一軸異方性を誘導でき、Pd置換量によって異方性エネルギー(異方性磁界)を制御できることを前年度までに明らかにした。現在、資源の偏在化などの理由でPdの調達コストが急増しており、2021年度はPd代替元素としてCoを検討した。20 at.%Co置換組成で530℃×3 h磁界中熱処理/磁界中冷却した結果,2468 A/m(31 Oe)の大きな異方性磁界が誘導され、飽和磁化も20%増加し1.45 Tとなった。また、元素置換なしの出発組成に対する磁界中ナノ結晶化熱処理/磁界中冷却により501 A/m(6.3 Oe)の異方性磁界を誘導できることを明らかにした。 (2)等方性扁平粉末積層コンポジットシート磁心の低保磁力化作製法において2021年度はアモルファス扁平粉末積層コンポジットシート磁心に対するナノ結晶化熱処理条件を詳細に検討した。アモルファス扁平粉末積層コンポジットシート磁心に対し515~570℃の範囲で5通りの温度×3時間でナノ結晶化熱処理した結果、熱処理温度でシート磁心の透磁率を制御できることを見出した。530℃熱処理でシート磁心比透磁率が最高の500となり、560℃熱処理シート磁心は最小のBeyond MHz帯鉄損を示し、ベンチマークであるセンダスト扁平粉末積層シート磁心の1/4の鉄損になることを明らかにした。 (3) 530℃熱処理シート磁心を採用したプレーナ型コモンモードチョークとチップキャパシタを用いてプレーナ型ノイズフィルタを試作し、10MHzスイッチングBuckコンバータの入力ノイズフィルタに適用した。航空機EMI規格であるRTCA/DO-160Gに準拠したノイズ評価を行った結果、20MHzと120MHzを除く広い周波数範囲で規格を満足することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
扁平粉末積層コンポジットシート磁心の低保磁力化に有効なシート磁心作製技術を確立するとともに、ナノ結晶化熱処理条件によって様々な磁気特性を有するシート磁心を実現可能であることを示すとともにノイズフィルタなどの磁気デバイスへの実装評価を進めている。 依然としてコロナ禍の影響を受けたものの、必要な部材を計画的に調達して研究を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は最終年度にあたり、以下の研究を実施する。 (1) 扁平粉末積層体の磁気特性評価と高周波磁化機構の解明 シリコーンをバインダに用いてアモルファス扁平粉末積層シートを作製した後、ナノ結晶化熱処理することで低保磁力のFe系ナノ結晶合金扁平粉末積層体を実現できることを既に明らかにしたが、最終年度は等方性、ならびに異方性扁平粉末積層コンポジット磁心を試作して扁平粉末積層体の高周波磁化機構を継続して考察する。併せて、インダクタやノイズフィルタへの実装評価を行って、本研究の成果の有用性を実証していく。 (2) 研究実施体制 信州大学大学院修士/博士課程学生の支援を得るとともに、信州大学工学部スピンデバイステクノロジーセンター教員の協力を仰ぎ、実験装置の借用などの協力を得る。
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Research Products
(10 results)