2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of liquid hydrogen forced flow cooled CICC superconducting magnet
Project/Area Number |
19H02130
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白井 康之 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (60179033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 晃史 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00260050)
今川 信作 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (10232604)
小林 弘明 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 特任准教授 (50353420)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 液体水素 / 強制対流冷却 / 超伝導マグネット / 超伝導導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
核融合用超伝導マグネットや超伝導エネルギー貯蔵装置など,高磁場でエネルギー密度の高い大型のマグネットを必要とする機器の開発は,NbTiやNb3Snなどの金属系超伝導材料と液体ヘリウムによる冷却を中心にすすめられてきたが,これらの材料の特性を越える 更なる高磁場化,高エネルギー密度化が求められている.その候補として,高い臨界磁場と臨界温度を持つ高温超伝導材料(REBCOやBSCCOなど)を用いた高温超伝導マグネットが開発されてきている.高温超伝導マグネットでは,その超電導特性を活かしつつ冷却安定性を確保するため,15~40Kの温度域で利用するのが適している.高磁場でエネルギー密度の高い高温超伝導大型マグネットでは,直接冷媒冷却,特にCICC(Cable In Conduit Conductor)として,強制対流で冷却することが適していると考えられ,この温度域では粘性の小さい液体水素の特性を活かすことが提案される.しかし,液体水素冷却については,その性状から十分な研究がなされていない.特に,CICC導体のような,流路が狭く複雑な場合の冷却安定性,クエンチ事故時の気泡発生による流れの不安定や閉塞などを検討した安全な冷却設計基準が必要である.さらに,マグネットシステムとしては,防爆を考慮した給電,パワーリード,クエンチ対応などが必要である. これらを検証するために,本年度は,液体水素循環ループに直列に模擬試験体(超伝導線材の代りにPtCoワイヤなどの発熱体を用いたCICC模擬導体)を作成し,圧力,液温,質量流速の条件を変えて,強制対流冷却した状態で通電加熱し,熱伝達特性を測定した.超伝導導体設計のためのデータベースを作成し,熱伝達特性の表示式を創出した.これらの成果をもとに,次年度以降にCICC導体の設計,製作および液体水素強制対流冷却試験を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,径の異なる(4,6,8mm直径)液体水素中流路に模擬試験体(超伝導線材の代りにPtCoワイヤを用いたCICC模擬導体)を作成し,圧力(大気圧~超臨界圧1.5MPa),液温(21~30K),質量流速(~40g/s)の範囲で条件を変えて,液体水素強制対流冷却した状態で通電加熱し,熱伝達特性を測定した.導体構造としては,流路に熱接触させた超伝導線材を間接冷却するものと流路中に超伝導線材を配置して直接冷却するものを想定した.試験発熱体への通電電流を時間的に増加及び減少させ,非沸騰域,核沸騰域,臨界熱流束から遷移沸騰域,膜沸騰域から非沸騰域に戻るまで,超伝導導体の常電導転移から超伝導復帰までを考慮した熱伝達特性を様々な条件下で測定した.これらのデータを整理し,熱伝達特性の表示式を導出した.次年度以降に実際の超伝導線材を用いたCICC導体の試験を行うための準備が整った.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,高温超伝導線材を用いたCICC短尺導体の製作と通電試験を実施する予定である。製作した短尺CICC導体を液体水素流路に直列に設置し,圧力(大気圧~超臨界圧1.5MPa),液温(23~30K),質量流量(~40g/s)の範囲で条件を変えて,強制対流冷却した状態で外部磁場下にて通電し,臨界電流を測定する.さらに過電流通電時の抵抗,温度を測定し,冷却安定性の評価を行う.このため,外部磁場印加用の液体水素浸漬冷却高温超伝導マグネットを設計製作する.SUS流路は水素ガス相に設置し,熱的に絶縁する. 最終年度は,CICC導体を用いた小型コイルを製作,トランスファーチューブを介して水素ガス相に設置する.強制対流冷却した状態で通電し,臨界電流を測定する.さらに定常通電時に,熱擾乱を与えて,常電導部を発生させ,抵抗・温度,圧力損失や流速変化を測定し冷却安定性の評価を行う. さらに,定常時あるいはクエンチ時の圧力上昇にともなうCICC導体およびコイルからのリークに対する安全性,保護システムの検討を,装置の設計・製作,実験を通して実施し,液体水素冷却CICC導体およびコイルの安全性指針を得る.
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Research Products
(7 results)