2019 Fiscal Year Annual Research Report
Environmental information recognition by power / data transmission via wireless pulse and data processing without location information
Project/Area Number |
19H02135
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
塩田 茂雄 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (70334167)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関屋 大雄 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (20334203)
高橋 応明 千葉大学, フロンティア医工学センター, 准教授 (70267342)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | センサ / 無線電力伝送 / パワープロセッシング / 位置推定 / 環境情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下,研究開発項目別に概要を述べる. 1(無線パルス信号による電力/データ伝送技術の開発):見通し内に存在する各センサ装置への電力供給,および各センサからのデータ収集技術について,マイクロ波方式の検討を行なった.電力伝送,データ伝送を行うことから,周波数はISM帯の2.45GHzを選択した.送信装置をアレイ化して,空間上に複数設置したセンサに時空間分割で電力を送る装置の送信装置,受信装置の基本設計を行なった.距離5mで10μWの送電が可能であることを理論検証するとともに,1組の送信・受信アンテナを用いた実験にて確認を行なった. 2(無線パワープロセッシング用回路・プロトコルの設計):位置ずれに頑強な双方向無線電力伝送システムを設計することを目的とし,本年度は「負荷非依存」と呼ばれる特別な回路方式に注目し,この技術の解析表現に成功した.さらに本技術を適用した回路として3種類のインバータを提案した.加えてFPGAニューロンとIoTデバイスを統合したハードウェアを開発し,IoTデバイスのMACヘッダを通信することで模擬的にスパイクを送信するシステムを実装した.また,ニューロンデバイスを結合することでニューラルネットワークを構成できることを示し,ネットワークが初歩的学習を行えることを明らかにした. 3(位置情報非利用型環境情報認識):物体反応型センサ(物体が近くに存在すると反応して,識別子を発信するセンサ)が散布された監視領域を通過する物体への各センサの反応を通じて各センサの位置を推定する手法について検討した.特に,監視領域を一つずつ物体が横切る場合について,位置推定アルゴリズムを考案するとともに,シミュレーション実験を通してその動作性能を確認した.また,各センサの推定位置を用いて,各センサの反応から監視領域内で生じている事象を推定する方法の妥当性について一定の見通しを得た.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いずれの研究開発項目ともおおむね順調に進展している.以下,研究開発項目別に理由を述べる. (1)無線パルス信号による電力/データ伝送技術の開発:マイクロ波方式の物理的な送信システムの基本設計は完了した.アレイ化による空間分割により,各センサのゾーニングが可能となる.また,簡易な装置での実験による動作検証も行ない,理論通りに動作することを確認した. (2)無線パワープロセッシング用回路・プロトコルの設計:無線電力伝送の受電側の状況が変化しても,特別な制御を必要とせず,常に一定電圧,または電流を送ることが求められており,負荷非依存特性によるその要求に応えられることを解析的に明らかにした.解析の妥当性は回路実験により確認した.また,FPGAに積分発火型ニューロダイナミクスを実装し,そのFPGAニューロンをIoTデバイスで結合した,IoTデバイスは自身のMACアドレスを送ることでスパイク信号とし,スパイク信号の重みづけを和を取ることで,無線ネットワークがニューラルネットワークとして働くことをXOR関数の学習を通じて明らかにした. (3)位置情報非利用型環境情報認識:物体反応型センサが散布された監視領域を一つずつ物体が横切る場合について,センサの反応データからセンサの位置を推定するアルゴリズムを考案し,位置推定精度等の面からアルゴリズムが良好に動作することをシミュレーションにより確認している.加えて,上記アルゴリズムにより得られたセンサの推定位置を利用することで,各センサの反応から監視領域内で生じている事象を的確に把握できることを,シミュレーション実験により確認している.
|
Strategy for Future Research Activity |
以下,研究開発項目別に研究の推進方策を述べる. (1)無線パルス信号による電力/データ伝送技術の開発:見通し内に存在する各センサ装置への電力供給,および各センサからのデータ収集技術を引き続き開発する.マイクロ波方式の検討では,実際に送信装置をアレイ化した場合の設計および解析を行い,送信装置内での干渉などが発生しないか確認を行う.また,送信装置,受信装置の試作を行い,実験による動作確認を行う予定である.この時に,受信装置に使用する弱電力でも効率よく整流を行うためのダイオードの選択など,回路の設計も合わせて行う予定である. (2)無線パワープロセッシング用回路・プロトコルの設計:双方向無線電力伝送を実現すべき,同期型整流器の開発を行う.さらに同期型整流器の負荷非依存特性を搭載することで,位置ずれに頑強なシステムを実現する. ・知的IoTネットワークの実現に向け,その実証例として在室人数推定システムを構築する. (3)位置情報非利用型環境情報認識:考案した位置推定アルゴリズムの動作性能を実機実験により確認する.加えて,複数の物体が監視領域を同時に横切る場合にも適用できるように位置推定アルゴリズムを拡張し,シミュレーションを通してその動作性能を確認する.また,機械学習等を用いて各センサの反応から監視領域内で生じている事象を自動認識する手法について検討する.
|