2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study on a novel modulation scheme for optical fiber communication based on nonlinear wave theory
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19H02140
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
丸田 章博 大阪大学, 工学研究科, 教授 (40252613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三科 健 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (90466368)
久野 大介 大阪大学, 工学研究科, 助教 (40802088)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光ファイバ通信 / 変復調方式 / 非線形光学効果 / 可積分系 / 逆散乱変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
光固有値変調方式は、ファイバ中の光パルスの伝搬が非線形シュレディンガー方程式で記述される限り、逆散乱変換で用いられる固有値方程式の固有値が保存量となることを理論的根拠とする変調方式である。そのため、送信側で変調された固有値を、受信側で誤りなく、かつ、効率的に取り出すことが、この方式の最重要課題である。そのためには、コヒーレント受信された複素包絡線振幅を離散時間サンプリングして得られた複素数の時系列データを代入した固有値方程式を数値的に解いて、如何に正確かつ効率的に固有値を求めるかが重要である。 令和2年度には、12個の固有値の有無に情報をのせた4096値信号(ビットレート11.3Gbit/s)を生成し、50kmの非零分散シフトファイバ(NZ-DSF)からなる伝送路を用いた伝送実験を行い、固有値変調を用いた超多値変調信号の伝送が実際に可能であることを示した。また、伝送路に周期的に配置される光増幅器において加わる光増幅器雑音が固有値に与える影響を摂動逆散乱変換を用いて定量的に評価する方法を提案し、複数の固有値からなる信号に対しても、雑音の影響を半解析的に求め得ることを示した。さらに、入力パルス生成の際の任意パラメータを適切な値に設定することで、雑音の影響を低減できることを見出した。また、より高速な復調アルゴリズムとして、複素モーメント型固有値解法による固有値検出法を提案し、従来の復調法と同程度の精度での復調が可能であることを示した。さらに、受信機における計算手順の並列化により、計算量を大幅に低減可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行に起因する大学への入構制限ならびに国内外への学会の制限の長期化により、伝送実験等当初計画通りには研究をすすめることが困難であった部分が一部あったが、新しい固有値解法の提案を行う等計画以上にすすんだ部分もあり、平均すると、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度までに得られた研究成果に基づき、今後は以下の研究を実施する。 (1)光増幅器構成の最適化を行った伝送路における雑音の影響を考慮した固有値配置の最適化について、計算機シミュレーションによる検討を行う。 (2)三角格子状に並べた12個の固有値の有無に情報をのせた4096値信号をNZ-DSF伝送路でより長距離にわたって伝送を行う方法について検討する。 (3)複素モーメント型固有値解法における解析領域分割法の最適化を行うとともに、計算量低減効果の実験的実証を行う。 (4)光固有値変調信号の波長分割多重伝送を行う際の、最適なガードバンドについて計算機シミュレーションによって検討し、ガードバンドをより狭くとることができる、機械学習に基づく復調アルゴリズムを考案する。 令和3年度が本研究課題の最終年度にあたるため、当初に掲げた研究目標を達成できるように研究を遂行し、得られた研究成果については可及的速やかに学会発表を行うとともに、学術雑誌への投稿を行う。
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Research Products
(12 results)