2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a method of 3D oxygen and pH mapping of tumors using electron spin resonance spectroscopy
Project/Area Number |
19H02146
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平田 拓 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (60250958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲波 修 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (10193559)
安井 博宣 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (10570228)
松元 慎吾 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (90741041)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腫瘍モデル / 酸素分圧 / 細胞外pH / 電子スピン共鳴 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、電子スピン共鳴(ESR)分光により酸素分圧とpHを同時に測定するコンセプトが実現可能であることを示した。引き続き、高分解能のイメージングを実現するために以下の実験を行った。 ESRスペクトルの計測精度を改善するために、電子チューニングが可能な750 MHz共振器の能動素子(バラクターダイオード)をチタン酸バリウムストロンチウムによる可変容量コンデンサに置き換え、共振器から発生する雑音の低減を試みた。予備的な実験では雑音の低減が見られたが、今回行ったESRスペクトルの雑音評価実験では明確な雑音低減効果は得られなかった。引き続き、共振器の雑音低減による酸素分圧計測精度の改善を目指したい。 次に、酸素分圧の計測精度に影響を与えるマグネットの磁場均一度について実験を行った。その結果、使用しているマグネットシステムの三軸方向において、それぞれバイアス電流を調整することにより、ESRスペクトルの計測精度が向上した。加えて、永久磁石を使用するマグネットであるため、イメージングのために印加する磁場勾配にヒステリシスが存在することを見出した。これまで、磁場勾配のヒステリシスの影響は考慮していなかったため、計測シーケンスが磁場勾配に影響を与えていたことを見出した。検討の結果、計測シーケンスを変更することにより、データの分散がより少ないESRスペクトルの計測を可能にした。しかし、本質的にヒステリシス特性を除去できたわけではないため、引き続き、計測精度への影響が少ない計測シーケンスを検討している。 今後の腫瘍モデルマウスの実験に備え、ヒト由来膵管がん細胞MIA PaCa-2による異種腫瘍組織移植モデルマウスの腫瘍成長データを取得した。また、腫瘍モデルマウスによるイメージング実験に先立ち、酸素イメージングに用いるDCP分子プローブの生体内半減期を求めた(12分、腫瘍サイズ約1立方cm)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、p1TAM分子プローブの腫瘍への投与実験を計画していたが、実験計画を少し変更して研究を進めた。腫瘍モデルマウスの作製および腫瘍成長のデータ取得、DCP分子プローブの生体内半減期の取得、イメージングの予備実験(麻酔、体温、呼吸のコントロール、腫瘍のイメージング)は、完了しており、順番に準備を進めている。当初使用を予定していたp1TAM分子プローブの投与実験を実施できていないが、別の酸素感受性DCP分子プローブによるイメージング実験を進めることができた。そのため、計画以上に進展したとは言えないが、「概ね順調」に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目には水溶液サンプルにおいて酸素分圧およびpHの同時イメージングを実現した。ただし、酸素分圧の計測精度の改善が必要なことが判明した。2年目には腫瘍モデルマウスの作製と腫瘍のイメージング実験に必要な準備を整えることができた。最終年度となる3年目は、当初計画していた酸素分圧とpHの同時イメージングに取り組む。酸素とpHの同時イメージングに必要なp1TAM分子プローブは米国ウエストバージニア大学のV. V. Khramtsov教授からご提供いただく。また、共振器の雑音低減の課題を解決できていないため、イメージング実験と並行して装置の雑音問題にも取り組む。さらに、酸素/pH同時イメージングの結果と比較するために、独立に酸素およびpHを可視化するイメージング実験にも取り組む。腫瘍組織の酸素およびpHのイメージング実験を通して計測技術を進展させ、目標とする酸素分圧の計測分解能(5 mmHg)の実現を目指す。合わせて、生物医学的な知見を得られるようにイメージング技術のレベルを上げることを目指す。
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