2019 Fiscal Year Annual Research Report
Versatile High-Performance 3D Imaging Platform
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19H02149
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
セット ジ・イヨン 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (20530827)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 三次元計測 / レーザ形状計測 / ビームスキャナ / LIDAR / 3Dイメージング / 光計測 / 距離計 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、レーザスキャナに固有の干渉性フェージングの抑圧に取り組み、所望以上の成果を挙げた。本現象はレーザスペックルに起因しており、データ損失・劣化を引き起こす。我々は本現象の偏波依存性を観測し、PMCW方式を導入することで、スペックル低減に成功した。そして、金属物において損失データの約20%、非金属物においては30%~90%を救済した。三次元計測においてこのような偏波を利用したスペックル低減は初の試みである。さらに、これまで光三次元計測には存在しなかった素材判別への道筋も開拓された。また、PMCWをAMCW型レーザスキャナに搭載して三次元計測に成功した。レーザスキャナの受信部については、より感度を上げるためにコヒーレント受信器の構築に取り掛かってきた。現状では、FMCWレーザスキャナ系を構築して、我々のコヒーレント受信器の性能を評価している。 続いて、レーザスキャナの縦横分解能を向上させるために、ベッセルビームフォーミングに取り組んだ。ビームフォーミングの構成は極めて簡素である上、1mm以下メインローブを保持した状態で2m以上に渡る伝搬距離を実験により確認した。この伝搬距離は集光系ガウシアンビームの焦点深度の200倍以上で、メインローブはコリメート光の1/3以下である。さらに、ベッセルビーム方式をAMCW距離計に導入し、測距に成功した。レーザ距離系において、ベッセルビームを用いた例は初めてである。 最後に、非機械式レーザビーム掃引方式を新規提案し、測距に成功した。本掃引機構には、回折格子を含む光学部と当研究室の独自技術である分散同調型波長掃引光源を実装した。原理確認実験としてAMCW距離系を構築し、新規提案した非機械式レーザビーム掃引方式と組み合わせ、10kHzでの非機械式ラインスキャンを実現した。 上記以外に、当初の計画外の光三次元計測に関する研究にも着手し、成果を挙げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
レーザ偏波変調発信器及びコヒーレント受信器に関しては予定通りに研究開発が進んでいる。 提案した偏波変調方式により効果的にスペックルが低減され、最終的にデータ損失の改善につながった。この成果は国際会議及びIEEE論文誌に論文が採択されている。また、偏波を活用することで、測定物の形状のみならず素材の情報もある程度取得できることは予想外の発見であった。これは従来の三次元レーザスキャナには無い機能である。コヒーレント受信器の開発は、当研究室のFMCWレーザスキャナに組み込んで実施した。特に、コヒーレント受信器のディジタル信号処理部に圧縮センシング等のデータ処理アルゴリズムを導入し、IEEE及びOSAの論文誌に投稿した。 次に、ビームフォーミングに関しては予定通りに研究開発が進んでいる。m級の伝搬距離と1mm以下のメインローブを持つベッセルビームを生成できた上、非常に簡素な構成に仕上がったことは想定外であった。本成果は国内外の学会に論文が採択されている。 続いて、非機械式レーザスキャナに関しても予定通りに研究開発が進んでいる。当研究室の独自技術である分散同調型波長掃引光源と融合して開発することができた。本成果は国際会議に論文が採択されている。 上述の通り本研究の1年目は予定通りに研究が進んだ。さらに計画した内容以外の光三次元計測の研究にも着手し、成果を挙げた。例えば、自動利得制御によるレーザスキャナのダイナミックレンジ拡大、レーザスキャナにおける相互干渉の除去、多光子励起顕微鏡用光源、受信強度を活用した位相接続によるAMCWレーザスキャナの測距不確定性除去、集光光学系を用いたレーザスキャナのデフォーカスの影響の除去、光干渉断層計のためのデータ処理が含まれる。このように、工業用三次元計測に留まらず、三次元バイオ計測へも範疇を広げることができた。これらの成果は国内外の学会に論文が採択されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、提案した偏波変調方式の延長線上で、素材分類に取り組む予定である。これは予定外の発見であったため、当初の計画への追加内容となる。最初は金属と非金属の分類に着手する予定である。 続いて、FMCWレーザスキャナの系で評価してきたコヒーレント受信器をAMCWレーザスキャナへ実装する。ただし、現状の直接検波系と光パラメトリック増幅器との組み合わせで十分な感度が実現できるようであれば、研究計画を変更して、コストパフォーマンスの良い後者を選択することも考慮している。 ベッセルビームフォーミングに関しては、距離系から三次元スキャナへ移行する。現在当研究室では、光エンコーダとシングルミラーを組み合わせたビームスキャニングを行っている。本方式はAzimuth分解能が1秒角と極めて高いが、高価であるという難点がある。そこで、比較的安価でコンパクトなガルバノミラーを制御して、ベッセルビームを用いた三次元計測を実現したいと考えている。 非機械式レーザビーム掃引に関しては、現在原理確認としてAzimuth方向を約4度掃引することができた。本システムの光学部の回折格子の最適化が未実施であったため、掃引範囲はこのように極めて限定的となった。次は、回折格子の最適化を図り、掃引範囲を拡大する予定である。また、Elevation方向の非機械式掃引に関してもシステム構成を考案し、AMCW方式と組み合わせ、最終的に完全な非機械式レーザビーム掃引による三次元計測を実施する予定である。 この他に、レーザスキャナ用データ処理等ソフトウェアの部位を充実させていく予定である。当初の計画にはソフトウェア研究開発の内容は盛り込まなかったが、1年目の研究でハードウェア開発と共にソフトウェア開発を実施したため、2年目以降も継続してハード・ソフトの両方を研究開発する予定である。
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Research Products
(25 results)