2019 Fiscal Year Annual Research Report
窒素極性GaN系MIS-HEMTのパワーデバイス応用に向けた研究
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19H02165
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
末光 哲也 東北大学, 国際集積エレクトロニクス研究開発センター, 教授 (90447186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋詰 保 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (80149898)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 窒化物半導体 / HEMT / 窒素極性 |
Outline of Annual Research Achievements |
窒素極性GaN結晶を用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT)に注目し、次世代パワーデバイスへの応用に視点を向け、窒素極性の分極を生かしたノーマリーオフ型動作の実現や、低オン抵抗のショットキーダイオードの実現を通して、既存のGa極性HEMTに対する優位性を明らかにすることを目指している。まず第一段階として、窒素極性とGa極性の性質を異なるものにする要因として重要である分極現象について考察を行った。窒素極性GaN、Ga極性GaNを用いてそれぞれ同じアノード電極材料を持つ同じ構造のショットキーダイオードを試作した。試作した素子のショットキー障壁高さを測定すると、Ga極性の方が約20%高くなることを確認した。同じような報告は過去にもあるが、障壁高さがGaNの極性で変わる理由を説明できるモデルはまだ確立していなかった。今回、極性によって障壁高さが変わってくる理由を説明するために、従来は半導体表面にあるとされてきた分極電荷を、表面から単位格子長の半分の距離だけ内側に入った面にあるとする新しいモデルを提唱した。この表面から単位格子長半分の距離の内側では、分極によって生じる高い電荷密度のために静電ポテンシャルに大きな曲がりが生じ、障壁高さをシフトさせる。しかも窒素極性とGa極性では分極電荷の符号が逆のため、そのシフトする方向が逆になるために障壁高さに違いが生じる。提唱したモデルによって計算した障壁高さの差は、実験結果と一致することを確認した。今後は、この新しい分極電荷モデルがHEMTのバンド構造に与える影響を明らかにし、パワーデバイス応用に適したデバイス設計へと展開していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
窒素極性とGa極性の性質の違いを生み出す分極電荷のあり方について新たなモデルを提唱することができた。これによって、独自性を盛り込んだデバイス設計やその試作を進めていくための土台ができ、研究課題の初年度としての目標は達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
提唱した分極電荷モデルを、GaN HEMTのバンド構造の計算に組み込み、従来の計算結果と比較してどの程度差異があるか確認する。また、パワーデバイスとして強く求められるノーマリーオフ型動作を実現するため、窒素極性GaNを用いたHEMTの結晶構造を設計し、結晶成長を実施する。並行して、デバイス作製技術として、オーミック電極、および、MISゲート電極の形成プロセスの検討を行う。
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Research Products
(3 results)