2021 Fiscal Year Annual Research Report
AIを導入したマテリアルズインフォマティクスによる巨大光吸収半導体の開発
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19H02167
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
藤原 裕之 岐阜大学, 工学部, 教授 (40344444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 元紀 岐阜大学, 工学部, 准教授 (20437263)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 巨大光吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、巨大光吸収を示す半導体物質をAIにより効率的に探索することを目的とし、AIを使用した半導体バンドギャップの予測技術を確立した。特に、高い光吸収係数を示す材料の探索を効率的に大規模で行うためには、AIによる物性予測が不可欠となる。具体的には、機械学習法としてサポートベクター回帰(SVR)を適用し、第一原理計算の低コスト計算法である一般化勾配近似(GGA)より決定した半導体バンドギャップから、高精度計算法であるHSE06のバンドギャップを機械学習により算出できるようにした。SVR解析には、まず様々な結晶構造より得られたGGAとHSE06のバンドギャップ値を学習データとして適用し、さらに元素の基本的な特性等を説明変数として適用することにより、バンドギャップ値を機械学習により0.2eV程度の誤差で計算できるようにした。SVR解析では、線形・非線形および様々な説明変数の組み合わせにより予測精度の向上を試みた。しかし、現状では、半導体のバンドギャップに関する説明変数がAI予測の根幹となっており、元素の物性値に関しては、最終的な予測精度に大きく寄与しないことも明らかになった。上記の計算プロセスは、これまでに確立した未知探索材料の光学特性計算手法(PHS法)と組み合わせることが可能であり、さらに同一プラットフォームのプログラミングによる計算の完全自動化を達成した。これまでに100種類程度の新しい材料の光吸収係数を算出したが、バンドギャップ付近の吸収係数が大きい材料は、まだ見つかっていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機械学習によるバンドギャップ予測は順調に進んでいるが、計算精度が予想よりも低い欠点があった。これを解決する方法を試行錯誤で探そうとしており、少し研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、機械学習によるバンドギャップ予測の絶対精度が、大規模計算を行う上での障害となっている。今後は、1)機械学習の教師データ数を増加させることによる計算信頼性の向上および2)バンドギャップをより的確に予想可能な説明変数の探索を行う。HSE06のバンドギャップ計算は、結晶の単位格子に20以上の原子が存在する場合には、計算時間が1週間程度かかるが、継続的に計算を行うことにより、教師データ数を増加させる。また、これまでのAIによるバンドギャップ予測では、イオン化エネルギーや電子親和力などの元素に関わる物性値が説明変数として適用されている。今後は、結晶自体に由来するより的確な説明変数を使用して機械学習を行うことにより、予測精度の向上を狙う。
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