2020 Fiscal Year Annual Research Report
分極制御型超ワイドバンドギャップ半導体デバイスの開拓
Project/Area Number |
19H02170
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
西中 浩之 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 准教授 (70754399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 修 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (50418076)
蓮池 紀幸 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 助教 (40452370)
池永 訓昭 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (30512371)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酸化ガリウム / 混晶 / ミストCVD / 高移動度トランジスタ / 単一ドメイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大きな分極を有し、さらにスイッチ可能な強誘電体であるε型酸化ガリウムによる高電子移動度トランジスタを作成して、GaNを超えるパワーデバイスを実現し、極限の省エネ社会への貢献を目的としている。その目的を達成するために、1.大きな分極による高濃度2DEGキャリア密度のHEMT、2.強誘電体によるスイッチ可能なノーマリーオフ型HEMT、3.ε-Ga2O3の基礎物性の解明の検討を進めている。 本研究では、そのHEMTの実現に向けた高品質結晶成長技術の確立に向けて、新しい基板を用いて形成した原子レベルで平坦なε-Ga2O3の結晶構造解析を詳細に行い、平面TEM観察により単一ドメインであることを初めて示した。コロナウイルスによる制限により研究できない期間が多かったものの、ε-Ga2O3の単一ドメイン化は初めての成果であり、HEMT実現に向けて大きく進展した。また、この新しい基板とε-(InxGa1-x)2O3は格子整合する。その準備としてInとGaの全範囲で組成検討したところ、従来作製が困難であったhex-InGaO3の形成に成功した。このhex-InGaO3はバンドギャップが大きいながらも、大きなキャリア密度と移動度を持ち、深紫外LED用の透明導電膜としての利用が期待できる。 また、単一ドメインのε-Ga2O3の転位評価を進めている。従来のε-Ga2O3は回転ドメインのために、無数の転位が存在するため、その転位を評価することが難しかった。高品質の単一ドメインのε-Ga2O3では転位の同定が可能であることが分かったため、現在はその転位の同定と発生原因の評価を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルスの影響で、想定していた実験の大部分が制限されたため、進捗がやや遅れることとなった。その一方で新しい材料の発見などにもつながる成果も得ており、遅れていながらも成果は出ていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
高移動度トランジスタの形成に向けて、基板と格子整合するε-(InxGa1-x)2O3の形成の検討を行い、高品質な下地層の形成を行う。その後その高品質な下地層の上にε-Ga2O3もしくはε-(AlxGa1-x)2O3を成膜し、ヘテロ接合の形成を試みる。形成したヘテロ接合に対して、C-V測定などを行い、2DEG形成の検証を行う。2DEGの検証後に高電子移動度トランジスタの構造を作製し、その動作を検証する。 また、単一ドメインのε-Ga2O3の詳細な転位評価を行い、その転位の同定を進める。さらに本研究で提案する基板上でε-Ga2O3がコヒーレント成長から膜厚が厚くなるにつれ、緩和する傾向が見られている。緩和と転位の関係やラマン分光などの評価を行い、ε-Ga2O3の物性を明らかにしていく。
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