2020 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental development for realization of high-performance organic transistors based on molecular orientation and interface control
Project/Area Number |
19H02171
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北村 雅季 神戸大学, 工学研究科, 教授 (10345142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 謙司 神戸大学, 工学研究科, 教授 (20303860)
服部 吉晃 神戸大学, 工学研究科, 助教 (90736654)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有機トランジスタ / 閾値電圧 / 単分子膜 / 配向膜 / コンタクト抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では実用に耐えうる低電圧,高速動作可能な有機トランジスタの開発を目指して,それを実現するための基盤技術開発に取り組んでいる.特に,[A]有機薄膜の配向性,[B]金属表面の単分子膜,[C]酸化物の表面処理とドーピング,[D]有機半導体へのドーピング,[E]顕微ラマン分光に関わる技術を駆使して,目標とする特性を実現することを目指している.[A]有機薄膜の配向性については,真空蒸着により成膜した単分子層のDPh-DNTTを通常の金属顕微鏡でも観察可能であることを示し,さらに,偏光顕微鏡の手法を応用し,配向方向を同定することに成功した.非破壊検査であり,かつ,観察時間が短く基板上の有機薄膜の成長を明らかにする上で有効な手法である.[B]金属表面の単分子膜については,単分子膜形成に分極の異なる分子を使用し,分極に依存した,広い範囲の仕事関数が得られた.有機トランジスタに応用した際には,必ずしも,仕事関数の大小だけではコンタクト抵抗の低下にはつながらないことを明らかにした.[C]酸化物の表面処理とドーピングについては,特に,酸化膜の表面処理に重点を置いて進めた.結果として単分子膜の被覆率制御,混合単分子膜の作製に成功した.塗布プロセスによる有機トランジスタの性能向上にもつながる成果である.[D]有機半導体のフェルミ準位制御については,インピーダンス分光により酸素プラズマ処理により閾値電圧制御した有機MOSキャパシタについて,酸素プラズマにより生じたエネルギー準位を明らかにした.[E]顕微ラマン分光については,[A]の金属顕微鏡の手法と同様に,ラマンスペクトルについても,有機単分子膜の配向方向に依存して強度が変化することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[A] 有機薄膜の配向性制御と移動度の向上,[B] 電極表面処理による低コンタクト抵抗の実現,[C] 酸化膜の表面処理による閾値電圧制御,[D] 有機半導体のフェルミ準位制御,[E] 顕微ラマン分光によるキャリア密度の評価,すべての研究項目について上述のように成果がでており,「おおむね順調に進展している.」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
[A]有機薄膜の配向性については,こらまでの観察技術や配向制御の技術を蒸着膜および塗布膜に応用する.結果として,より高移動度の有機トランジスタの実現を目指す.[B]金属表面の単分子膜については,広い範囲の仕事関数の電極を実際に有機トランジスタに応用に,コンタクト抵抗との関係をより詳細に調べ.結果として低コンタクト抵抗のトランジスタを実現する.[C]酸化物の表面処理とドーピングについては,これまで閾値電圧を正の方向にシフトすることに成功しており,今後は新たな展開として,負の方向にシフトすることと試みる.[D]有機半導体のフェルミ準位制御については,[C]で導入する新たな絶縁膜に対しても,こらまでの評価手法を適応し,絶縁膜中のエネルギー準位の存在を明らかにする.また,各種表面処理によりフェルミ準位の制御も試みる.最終的に,これまでの要素技術を応用し,実際に有機トランジスタの高速動作を試みる.
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