2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on ultrashort pulsed semiconductor laser diodes for fluorescent bio-imaging
Project/Area Number |
19H02176
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
宮嶋 孝夫 名城大学, 理工学部, 教授 (50734836)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 智 名城大学, 理工学部, 教授 (10340291)
今井 大地 名城大学, 理工学部, 助教 (20739057)
成塚 重弥 名城大学, 理工学部, 教授 (80282680)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 半導体レーザ / 超短パルス / ガリウムヒ素系半導体 / バイセクション構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床現場で利用可能な蛍光バイオイメージング用超短パルス半導体レーザの実現に向けた(1)GaAs系半導体レーザ、(2)バイセクション構造、(3)大型GaAs系半導体ウェハーの3つに対して得られた成果は以下の通りである。 (1) GaAs系半導体レーザ:本研究で、最も基本となるGaAs系半導体レーザの作製技術を確立するために、その構造を設計後、実際に結晶成長とデバイス試作を行った。その結果、針立て状態で電流注入を行うことで、発振波長828nmの室温パルス発振を確認。一方、しきい値電流密度は37.1 kA/cm2と高めであった。この原因は、p側オーミック電極のコンタクト比抵抗が十分に低減されていないことが主要因と考えた。なぜならば、デバイス表面を光学顕微鏡で観察すると、p型電極の剥離が激しいことからである。そこで、デバイス作製のためのプロセス条件を見直し、その改善を図ることで、p型電極の剥離の抑制を行った。 (2)バイセクション構造:超短パルス半導体レーザを実現するために必要不可欠なバイセクション構造を取り入れたGaAs系半導体レーザを試作。このデバイスは、p型領域を利得領域と可飽和吸収領域と呼ばれる2つの領域に分割し、利得領域に順バイアスを可飽和吸収領域に逆バイアス印加をすることで、パルス発生を行うことができる。ここでは、その分離抵抗が20kΩ以上であり、上記バイアス印加が可能であることを確認した。 (3)大型GaAs系半導体ウェハー:(1)(2)で説明したデバイス試作を更に効率よく進めるには、安定したより大型のGaAs系半導体ウェハーが必要と実感した。そこで、外部研究機関と検討を重ね、直径3インチのGaAs系半導体ウェハーを供給可能にした。具体的には、直径3インチのGaAs基板上に、室温パルス発振を確認したデバイス構造を成長して頂いた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的を達成する上で、大口径の安定したGaAs系半導体ウェハーの成長とこれを使ったデバイス試作が必要不可欠と実感した。そこで、当初の計画を変更して、本学にある結晶成長装置を使った15mm×15mmと小型のGaAs系半導体ウェハーの成長とこのウェハーを用いた小規模なデバイス開発を継続する一方で、外部研究機関において直径3インチの安定したGaAs系半導体ウェハーを試作し、その供給を可能にした。当初、予定をしていたデバイスの実現までは至らなかったが、今後、安定した大型のGaAs系半導体ウェハーを使った再現性のあるデバイス試作が可能になる。これにより、本研究の目的を効率良く実現できる道が開かれたと考え、上記区分とした。 具体的内容は以下の通りである。 (1) GaAs系半導体レーザ:初期的な試作により、室温パルス発振を確認した。しきい値電流密度は比較的高いものの、結晶成長及びデバイス作製プロセスを改善することで、性能のよいデバイス試作が可能であると期待できる。そのためには、安定した大型GaAsウェハーが必要であるが、その供給の目途が立った。 (2)バイセクション構造:パルス発生の実証まではできなかったが、パルス発生に必要な、利得領域と可飽和吸収領域の電気的分離を確認できた。 (3)大型GaAs系半導体ウェハー:GaAs系半導体レーザの研究開発は1970年代に盛んに行われたが、その後、商業化に成功したために、現在、GaAs系半導体の結晶成長を行っている研究機関は少ない。このような中で、結晶成長を引き受けて頂ける外部研究機関を見つけ、検討を重ねた結果、直径3インチのGaAs系半導体ウェハーを安定して供給して頂けることになった。今後、このGaAs系半導体ウェハーに対して、本学において確立したプロセス条件を適用することで、目的のデバイスを効率的に実現可能と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
以下のように、更なる進展に注力する。 (1) GaAs系半導体レーザ:供給可能になった“大型GaAs系半導体ウェハー”を使って、“安定して再現性のあるデバイス作製プロセス”を確立・適用して、良好なデバイス特性を実現する。特に、p型オーミック電極のコンタクト比抵抗を安定的に低減化するプロセス条件の確立は重要であると考えている。なぜならば、前述したように、室温パルス発振を確認したGaAs系半導体レーザのしきい値電流密度が37.1 kA/cm2で高めであったことの主原因が、p型オーミック電極のコンタクト比抵抗であると考えているからである。 (2)バイセクション構造:(1)の技術を基に、バイセクション構造を導入したGaAs半導体レーザの試作を行い、実際にバイアス印加をすることで、パルス発生の確認とその高出力化を行う。 (3)大型GaAs系半導体ウェハー:更なる高出力化を目指したデバイス構造を設計し、その構造を導入した“大型GaAs系半導体ウェハー”を成長し、(1)(2)で確立したデバイス作製プロセスを利用して試作を行うことで、より高性能な超短パルス半導体レーザを実現する。 また、本研究の目標を達成するためには、上記の基本技術に加え、“放熱対策”も重要と考え、予め準備を進めてゆく。 今後は、上記の基本技術を確立させながら、これまでに修得した技術を織り込んだ超短パルス半導体レーザ(半導体増幅器を含む)の設計、試作、評価を効率的に行い、本研究の目標を達成する。
|
Research Products
(2 results)