2019 Fiscal Year Annual Research Report
面発光レーザのスピン偏極電子密度制御に基づくベクトル変調技術の開発
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19H02186
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横田 信英 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (00734542)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 面発光レーザ / スピン偏極 / ベクトル変調 |
Outline of Annual Research Achievements |
高度情報化社会の発展に伴い短距離光通信の大容量化が求められている。光信号を効率的に多値化することが可能なベクトル変調方式(光の振幅と位相を制御する方式)は短距離光通信においても重要であるが、コストや消費電力の点で短所を有する外部変調器を用いる必要があり、本方式の導入においてハードルとなっている。本研究では、面発光レーザに電流注入する電子のスピン偏極(上向き or 下向き)を制御する特殊な変調法を活用し、面発光レーザからベクトル変調光を直接生成する技術の開発を目的としている。当該年度では、光通信波長帯で動作する面発光レーザにおけるスピン偏極電子密度を光学的に高速変調する手法を用いて、ベクトル変調光生成に関する原理検証実験を進めた。変調に起因した光の振幅と位相の変化をそれぞれ検出することが可能な実験系を構築し、光の振幅が2値の間で変化する振幅変調方式の光信号検出に成功した。今後、より高い多値度を有する変調方式へと展開するため、面発光レーザへのスピン偏極電子の光励起効率や光検出器の検出感度を向上させる方法を検討し、実験系の改良を進めた。スピンフリップレート方程式モデルを用いた解析プログラムを作成し、提案手法が理論的に実現可能であることを確認すると共に、実験結果を理論と比較して考察するための環境を整えた。これらの成果に関し、国際会議発表1件を行った。また、本手法を将来的に光ファイバ無線分野へ応用するための検証実験系の構築にも着手し、必要となる高速受光器などの実装を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の主要な目標としていた実験系の立ち上げを滞りなく進めることができた。構築した実験系において、検出信号の信号対雑音比が小さいという問題があったが、その改善策を明確化することができた。また、2021年度に計画している実験の一部を前倒しで進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに検討したスピン偏極電子の光励起効率や光検出器の検出感度を向上させる改善策を実験的に検証し、明瞭なベクトル変調光の検出を進める。また、理論と実験の比較・考察を行い、成果発表に向けた準備を進める。
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