2020 Fiscal Year Annual Research Report
大規模光通信システムのための磁性フォトニックデバイスの開拓
Project/Area Number |
19H02190
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
庄司 雄哉 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00447541)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 磁気光学効果 / 光スイッチ / 光アイソレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では①低損失な導波路型光アイソレータと②超低消費電力駆動が可能な自己保持型光スイッチの開発を目的としている。本年度、それぞれの課題について以下の検討を実施した。 ①では、テーパ型TE-TMモード変換器を用いた導波路型光サーキュレータについて、広波長帯域動作を実現するための構造設計を行った。本デバイスの動作帯域を制限しているのはTEモードとTMモードの波長分散の差である。これを導波路幅で独立に制御するために偏波スプリッタによってTEモードとTMモードに分離する手法を提案した。素子の設計と作製を行い、動作帯域の広波長帯域化に成功した。 また、これまでのCe:YIGに代わる磁気光学材料としてCoFe2O4のSi基板上への直接堆積を検討した。その結果、Ce:YIGのファラデー回転係数の5倍以上に相当する25,600deg/cmの結晶膜堆積に成功した。 ②では、自己保持型光スイッチの磁化反転を制御する印加電流の短パルス化を検討し、2ナノ秒のパルス印加が可能な50Ω整合したコプレーナ線路を設計した。また、Ce:YIGのアニール処理による光導波路の低損失化を検討した。作製したリング共振器型光スイッチにおいて、印加電流を細かく制御しながら光透過率を測定し、薄膜磁石の残留磁化のヒステリシス応答を観測し、またその中間状態では連続的な光透過率を設定できることを見出した。 いずれの成果も、磁気光学効果を用いた光デバイスの実用性を示すものであり、これらはOptics Expressなどの学術誌や、応用物理学会学術講演会などで成果発表を行った。特にOptics ExpressであEditor’s Pickという編集者による注目記事として取り上げられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ボンディング法を用いた光アイソレータ・光サーキュレータではTEモード光動作の特性向上が順調に進んでいる。 自己保持型光スイッチでは、光導波路、薄膜磁石、制御回路のそれぞれについて同時進行で特性改善を進めた。高い消光比のスイッチング動作とその細かな制御ができるようになり、応用の幅も広がってきている。 いずれも当初計画の目標を達成するものであり、(2)おおむね順調に進展している、ものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
ボンディング法を用いた光アイソレータでは、損失の要因を細かく調査し、さらなる低損失化を目指す。同時に、集積密度を向上させるための磁気光学材料の新しい集積方法を探求する。 自己保持型光スイッチでは、薄膜磁石の配置を工夫することで磁界印加の高効率化を目指すとともに、集積化に適したSi基板上での新しい導波路構造の作製プロセスを検討する。
|
Research Products
(17 results)