2019 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロジニアス微小ノード群による無線通信機能の創発
Project/Area Number |
19H02191
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 浩之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40451992)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 結合発振器 / センサネットワーク / IoT / 無線通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
同期条件の検討:本研究では実デバイスの試作を行うことから,具体的なセンシング対象を定めることとし,まずは農地のような広大なフィールドにおける多点の温度や照度の統計的なデータを収集することを想定した分散システムを題材として考えることとした.また,申請者によって最近得られた研究成果をもとに,カオス発振器を結合させることにより意味のある集団動作が発現するというアイディアを試すことにした.1つのトランジスタと,2つのインダクタ,1つのキャパシタ,1つの抵抗で構成される単純な発振器が光強度に応じた反応を示すように,その電源を小型ソーラパネルで供給し,1つのインダクタは他のデバイスと磁気結合するように設計した.さらに,デバイス群を外部から刺激するための大きなコイルを有するエキサイター回路を近接させることにした.これらの相互作用を解析するためにノード群をモデル化し,回路パラメータなどの条件に応じた回路動作を求められるようにした. 変調技術の検討・実デバイス試作・評価:上記の研究成果をもとに,コイル間の距離や回路設定,照度を変えた場合など様々なシナリオにおける動作を解析した.また回路を試作し,実測により,同期の増加や散逸,ノード間でのリレー効果を観測することに成功した.さらに,設定によっては,エキサイターからの励起信号によりノード間の同期を強化あるいは妨害できることを確認した.つまり,外部励起によってノード群の隠れたダイナミクスを観察できる可能性を見出すことができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的な考察に加え,シミュレーションや実測により,磁気結合したセンサノードが集団同期し,その振る舞いからセンサ情報を読み出すという当初のアイディアを凡そ実証できた.また,各センサの情報を個別に読み取るのではなく,センサノード間の相互作用により生じた振る舞いに着目して群の統計的な情報を読み取るという新しい概念のセンシング技術の着想を得て,その可能性を検討した.これらの成果の一部は,論文誌(IEEE Access)で発表し,大学のプレスリリースでも公開した.
|
Strategy for Future Research Activity |
特に,ノードの超小型化を進め,さらに位相変調・周波数変調によるデータの読み出し手法に関する検討を進める.さらに,本年度の研究を通して着想したカオス発振パターンに着目したセンシングや,外部励起を利用することによるアクティブなセンシング方法についても研究を推進する.
|